【実況者】ラブ・デス・ゲーム─season2─

#63 ページ16

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「またAを追っかけてる敵見つけたから戦ってたんだ

殺り終わった後になんとなくここら辺歩いてたらA達が焦ってトイレ入る様子見つけたから」


『私を狙う敵が……また？』


「あはは困っちゃうよね、ただでさえTOP4が居るだけで俺は精一杯なのに」



フジくんはそう言うと首の後ろに手を置き、愛想笑いを零した

その時、彼の着ていたニットの腕の袖部分から赤い何かが垂れた


その赤い液体はぽたぽたと次第に量を増やしていく


よく見ると腕全体に赤黒く液体が染み付いていた


ニットが黒だから気が付かなかったけれど、まさかあれは



『フジくん……それ、血出てる…？』


「え？あ……バレた？」


『当たり前だよ！血、垂れてるし

……すぐ手当しないと、ちょっとこっちの陰に隠れて
人の目に付いたら困るから』



私は彼の怪我をしていない方の手を引き、人目のつかない所に隠れる


そして裾をあげると、そこには乱雑に巻かれた包帯いっぱいに血が染み込んでいた



『！……やられたの？』


「……まぁ、……」


『すごい傷深いよ！……ここら辺が壊死したら腕、使えなくなっちゃうよ……』


み「保健室、行かなかったにゃ？」


「アホ、こんなキツい傷あったら何したのか怪しまれるでしょ

ていうか大丈夫だよ。愛のゲームの通販で治療薬頼んだから
何時間かしたら届くと思うし」


『何時間、って…！ずっとこのままでいるつもりなの？

応急処置だけでも早めにしとかないと……！』


「いいって、それより授業遅れちゃうんじゃない？
優等生のAと羽乳田さんが遅れていいの？」


『いいよこのくらい

とりあえず今はフジくんの手当てを……

……っ！？』



突然フジくんの腕から緑の魔法のようなものがでてきた

……いや、私の手から出たものがフジくんの腕に纏ったと言った方がいいだろうか


そしてそれはゆっくりだが彼の腕の深い深い傷を治癒していった



「A……、これって」



フジくんがその言葉を言い終わる前に、腕の傷は一切無くなっていた



『アビリティ……なの？』


み「すごいにゃん！魔法少女にゃん！」


「でも、Aのアビリティは……俺を倒したあの光なんじゃ、」


『それに私壊れたものをなおすアビリティも、あっ…………て、』



あれ、なんだか視界がグラグラする



み「Aっ！？」


「これでMPを大量消費しすぎたのか……！」


『だい、じょうぶだから……

フジくんのけがなおって、よか…………った』


「A！！」


フジくんが私の名前を呼んだところでやっと保っていた意識はどこかへ飛んでいったのだった

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