２つの怒気 ページ31
私の身体からフックが外れ、
クロコダイルの左腕に戻っていく。
「少々、フザケが過ぎたな“麦わらのルフィ”」
額に青筋を浮かべてこちらを睨みつけてくるが、
ルフィさんはそれに動じる事なく砂漠の上にあぐらをかき、少し曲がっていた麦わら帽子を左手で被り直す。
空いた右手で私の事を軽く背に庇いつつ、
「……そいつはな、弱ェくせに
目に入るものみんな助けようとするんだ」
いつもと違う、落ち着いたトーンで語り始めた。
「何も見捨てられねェから、いっつも苦しんでる。
この反乱でも、誰も死ななきゃいいと思ってる」
大人しい声なのに、
その声の裏には沸々とした怒りを感じる。
「誰も死なねェ！？
……よくいるな、そういう甘ったるい平和バカは
本当の戦いを知らねェからだ」
最後に「お前もそう思うだろ」とクロコダイルに問われれば、ルフィさんは当然の様に「うん」と答える。
本当の戦い……。人と人とが命を奪い合う事。
私は、それを知らない。
人が必ず死ぬという事は知っている。
私の両親は、私の目の前で息を引き取ったから。
けれど、誰かの手で誰かの命が奪われる光景を
私は今まで見た事はない。
同じ“死”であっても、
私の知る死と２人が語る死は全然違う。
「…だけどあいつは、お前がいる限り
死ぬまでお前に向かっていくから。
俺が、ここで仕留めるんだ」
そう言って立ち上がったルフィさんの目は、
真っ直ぐにクロコダイルを捉えていた。
今まさに自分を倒そうとするルフィさんを前に、
クロコダイルはバカにした様に笑った。
くだらない、救えないバカだと。
しかし、ルフィさんはパキパキと指の骨を鳴らして
挑発のつもりはないのだろうが、
結果的に挑発とも取れる言葉を言い返す。
「……じゃ、お前がバカじゃねェか！！！」
クロコダイルから「ブチッ！」という音でも聞こえそうな程に怒っているのが伝わってくる。
「フフフッ……」
思わず笑ってしまったミス•オールサンデーを
クロコダイルは睨み付けると
「てめェも死ぬか…？ニコ•ロビン」
聞き慣れない名前で彼女を呼んだ。
ミス•オールサンデーはコードネームだから、
きっと今のニコ•ロビンが彼女の本名なのだろう。
「その気ならばお好きに。
それに、その名は呼ばない約束では？」
彼女は先にアルバーナに向かうと言い、
微笑を浮かべながらこの場から遠ざかって行く。
何だろう、何だか不思議な女の人だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
朮(プロフ) - 星猫さん» それ程アニメをよく観るわけでは無いので、ラノベ系アニメはあまり知りません。ジャンプ系なら黒バス・ぬら孫・血界戦線・るろ剣・鬼滅・リボーン等です。 その他ならドリフターズ ・最遊記・忍たま・どろろです。 (2020年6月12日 19時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 知ってるアニメは何ですか？ (2020年6月12日 16時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
朮(プロフ) - きぃさん» コメント有難うございます！これからは物語も大きく動いてみたり……。応援を励みに更新頑張ります！！お楽しみに！！ (2020年3月18日 23時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
きぃ - すっごく面白い小説ですね！これから電伝虫少女ちゃんがどうなるのか展開が楽しみです！続きの更新頑張ってください！応援してます！ (2020年3月18日 14時) (レス) id: 86b27e9006 (このIDを非表示/違反報告)
朮(プロフ) - 靜藍さん» コメント有難うございます！前作まで読んで頂き光栄です！なるべくテンポ良く投稿できるよう頑張ります！！ (2020年3月10日 10時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朮’ | 作成日時：2020年3月8日 2時
