食堂にて ページ22
昼時とあり、それなりに混み合う食堂。
本来の本部には食堂は2カ所あり、混雑緩和のために将校用の食堂は別にあるのだが、現在はそちらが工事中のため、1カ所の食堂を全ての海兵が利用している。
本日のおすすめだったチキン南蛮定食を食べ終え、
水を飲んで食器を片付けようと立ち上がると
「もう1回言ってみろ！！」
「やめろグラント！！」
どこらか物凄い怒鳴り声が聞こえてきた。
食堂内は一気に静かになり、
声の聞こえてきた方に注目が集まる。
「何か文句があるのかね？
クザンは元帥の器じゃなかったと言っているんだ」
ん、この声は。
前に僕が殴り飛ばした中将の声じゃないか。
相変わらず嫌味ったらしい話し方をする。
「決闘で負けて逃げ出す様な腰抜けだ。
もとよりだらしのない腑抜けた正義など掲げ、
あの男のどこにその適性があったというのだね？」
「青雉さんは俺の恩人だ！！
あの人は立派な人だ！！」
今にもその中将に殴りかかろうとしているのは、
青雉さんの部隊にいたグラント君だな。
そしてそのグラント君を必死で抑えているのは、
同じ青雉さんの部隊にいたボナム君とザッパ君か。
「元帥争いでクザン派にいた者はよく考える事だ。
この先お前達の意見など何の権力も持たんだろう。
その点を取れば、どっちつかずだった大将黄猿は実に上手くやったと言えるだろうな」
「この野郎！！」
うーん、別に赤犬さんは青雉さんについてた人達を差別する様なちっぽけな器の人じゃないけど。
それに黄猿さんだって、そんなつもりでどっちつかずだったわけじゃないし。
食堂にいる周囲の者が中将に向ける目は実に冷ややかだ。何せ青雉さんは部下の人達からは絶大な人気を誇っていたから。
それでも権力闘争に敗れたことは事実で、
相手が中将ともなれば誰も何も言い返せない。
「何にせよ、元クザンの部隊にいた者はは私の部隊に入ったのだ。精々最前線でこき使ってやるさ」
成る程、どうやらグラント君達は
あの中将の部下になったらしい。
そして、青雉さんの部隊にいたから捨て駒にでもしてやろうというわけか。
元々あの人の立てる作戦は嫌いだ。
自分は1番安全な位置にいて、部下に危険を強いる。
まぁ、それが理由で僕はあの人殴って左遷させられたわけなのだが。
しかし、これ以上食堂で騒ぎを広げるのはやめてほしい。厨房にいるおばちゃん達も不安そうにこちらを見ているし。
僕は食器を乗せたお盆はそのままに、
スタスタと騒ぎの中心へと足を進めた。
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朮’(プロフ) - Sun._raiseさん» コメント有難うございます！拙い文章力ですが、楽しんで頂けて何よりです！ (2022年3月7日 18時) (
レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
Sun._raise(プロフ) - 面白かった！読んでる時のワクワク感がすごく楽しかったです！！ (2022年3月4日 18時) (レス) @page27 id: 276bbde748 (このIDを非表示/違反報告)
朮(プロフ) - Ａさん» コメント有難うございます！期待せず、気長にお待ちいただけると幸いです笑 (2020年7月27日 0時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
Ａ - 新世界、待ってます (2020年7月25日 15時) (レス) id: 95a8535ef0 (このIDを非表示/違反報告)
朮(プロフ) - ぐんなさん» コメント有難うございます！初めてのシリーズだったので主人公はモロ作者の好みです笑。こちらは一先ず完結しているのですが、いずれ新世界編を書きたい！ (2020年3月18日 23時) (レス) id: e4a009835c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朮’ | 作成日時：2020年1月31日 18時
