帰還 ページ26
結構思い切り蹴飛ばしたはずなんだけど……。
ジェーネスは口内に溜まった血を「ペッ！」と吐き出してふらりと立ち上がる。
蹴ったときの衝撃で剣から手は離れ、
ジェーネスの剣は僕の足の下だ。
「チッ、クソが！」
そして懐に手を入れれば、
テンプレの様に拳銃を取り出して僕に向ける。
「俺はこんな所で終わらねェっ！！」
待て待て、それ今から終わる奴が言うセリフ！
何で自分でフラグ立ててんの。
仕方ない、そのフラグは僕が回収してあげよう。
「死ねェ！！」
––––ドンッ！！
引き金を引いて弾が発射される。
そんな真正面から素直に撃たれた弾にやられるかよ。
弾道なんて銃口の向きと
ジェーネスの視線を見ればほとんど予測できる。
剃で左に避ければ、もう一度剃で間を開けずにジェーネスのほうに距離を詰める。
「こっちかァッ！！」
––––ドンッ！！
すぐにもう1発撃って来たが、
僕はそれを姿勢を低くして紙一重で避けると、
ジェーネスの懐に入り込み、
左に持ったナイフの柄で脇腹を殴りつけ、
顎先を右手の拳で殴り上げた。
「がはっ！！？」
思い切り一撃が顎に入れれば、
ふらふらとおぼつかない足取りで後退する。
それでもまだ意識はあるらしく、僕を睨んできた。
しかし、もう立っているのがやっとの様で視界も歪んでいるのか目の焦点が合ってない。
僕はゆっくりと目の前まで歩み寄ると、
何の躊躇もなく男の急所を蹴り上げた。
「えいっ！」
念の為にストゥーピッドの時よりちょっと強めに
押し潰す感覚で蹴っておいた。
「ほぎゃわっ%△#?▼◎&@□！！？」
よし、気絶したか。
白目剥いて両手をあそこに当てて倒れてるよ。
「よし、さっさと支部に引き渡して撤収しよう」
思いの外、討伐が順調に行き
怪我人の手当ても含めて南の海の支部に数日滞在の後に何故かもう2件討伐を任され、
そちらは支部の海兵達と協力して海上戦。
何だかんだあって、
結局、本部に帰還したのは17日後になっていた。
「で、僕がいない間に何があったんだよ」
何故かマリンフォードは所々修復作業中。
何でも金獅子のシキが奇襲を仕掛けて来たらしい。
目撃者の話によれば空飛ぶ船を見たとかなんとか。
そしてその金獅子は麦わらに敗北したとか……。
もうあいつらの成長速度早すぎて怖い。
そして帰還から数分後、
僕は火拳ポートガス・Ｄ・エースの公開処刑を聞かされる。
それは即ち、
四皇白ひげとの全面戦争を意味していた。
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作者名：朮 | 作成日時：2020年1月13日 22時
