左遷准将、帰還する (ページ3)

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夜９時前ページ3

さて、山の方へ逃げたとは言え
莫大な黄金を置いていくとも思えない。

そうなればもう暫く麦わら達は基地の中にいるはず。

ちなみに黄金は司令室にあるのだが、
果たしてそれに気付くかどうか。

––––ガシャァァァンッ！！

ん？司令室の方からか。
堂々と侵入したって訳か。相変わらずだなぁ。

階段を登って司令室の方に向かい歩いていれば、
この基地で今最も会いたくない奴が目の前にいた。

「シェパード中佐」

「イツキ准将ですか。
こんな所で何をしておいでで？」

そりゃこっちのセリフだ。
さっきから邪魔ばっかりしているあんたこそ
ここで何をやってんだ。

「僕の仕事はあくまでも監査なんでね。
基地と海兵達の動きを観察しているんですよ」

「懸賞金1億ベリーの海賊を前にして
呑気なものですなぁ～」

全く、少しは嫌味なく喋れないのかこいつは。

そして司令室に着けば、
何故かそこにいた海兵達が焦げている。

落雷でもありましたか？

それにバルコニー付近の窓は壊されている。
おそらくはそこから侵入して、脱出したのだろう。

「自分の部屋に来た麦わらをむざむざ
取り逃したばかりか、黄金まで奪われるとは、
大失態と言わざるを得ませんな」

さっき麦わら取り逃したのに何で偉そうなんだよ。

「彼らは決して、私の手からは逃げられはせんよ」

どこか強気な発言の中将に中佐は「負け惜しみを」などと言って馬鹿にするが、中将は負け惜しみを言うような人ではないだろう。

おそらく本当にまだ策があるのだ。

しかし、中佐はそんな事はお構いなしだ。
ここからは自分の采配を見せてやろうなどと切り出したため、

「では、君のお手並みを拝見させてもらうとしよう」

中将は自分の策の方が上であると確信したうえで
中佐に任せると言い出した。

しかし、その数分後に中佐の作戦はまたもや失敗し
麦わらの船が突如として出現した。

ハリボテで軍艦に扮装していたらしい。

「馬鹿な！！？」

自分の作戦が失敗したことにカリカリする中佐に
「心配はいらない」と中将は余裕そうに声を掛ける。

「夜9時、ナバロンの海は牙を剥く。
脱出不可能。最後のトラップの幕開けだ！」

おや、中将は随分と自信たっぷりだな。
つまりはここからが本番ということだろうか。

ここまでは何とか麦わら達は逃げて来れたが、
それは全て中将がまだ本気ではなかった事に加え、
中佐が見事に邪魔をしてくれたからだ。

さて、ここからどうする？