左遷准将、帰還する (ページ15)

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よく寝たページ15

いやぁ、よく寝た。

考えてみれば本部に帰ってきてから
自分の部屋でまともに寝た記憶が全く無い。

長い事使っていなかったにしては埃も少ないし、
きっと誰かが偶に風通しをしてくれていたのだろう。

ベッドから起き上がれば、
横には元バナナワニのクッションが寝ていた。
頭の部分の縫い痕が痛々しい……。

スタン・マレー号で先に持って帰ってもらっていたのに、黄猿さんに渡すのをすっかり忘れていた。

ひとまず起きて、
サイドテーブルに置かれていた紅葉饅頭を食べ、
シャワーを浴びて服を着替え、
元バナナワニクッションを小脇に抱えて部屋を出る。

でかいクッションを抱えて本部の廊下を歩けば、
大抵の人に二度見された。

それより、何となく本部が騒がしい。
いつもより人もいるし、皆んな忙しなく動いている。
僕が寝ている間に何かあったのだろうか？

黄猿さんの執務室に向かい、
ノックをしてから中に入る。

「おはよーございまーす」

襖を開けて奥を見れば、椅子に座った黄猿さんがデスクに肘をついて顔の前で手を組み、ニコニコとこちらを見て来る。

……すっごく嫌な予感しかしない。

「えーっと、これお土産です」

元バナナワニクッションを差し出すと、
気のせいか、
さらに目尻が下がってニコニコが濃くなる。

「何か、怒ってます？」

一旦クッションは引っ込めて自分で抱きしめ、
クッションから恐る恐る顔を覗かせる。

「イツキ君。
君、昨日は何をしてたのかなァ？」

「……昨日は、非番だったので寝てました」

昨日っていうか、一昨日赤犬さんに負けてからずっと寝っぱなしでしたけどね。

「バスター・コールが発令されて～、
本部中大忙しだったっていうのにかぁい？」

は？バスター・コール？
何でそんなん発令されてんの！？

てか、全く気付かなかったし。
だから皆んな忙しそうにしてるのか。

「そこに今回の報告書があるから、
とにかく目を通してねェ～」

「それからぁ、
君が前に頼んでたニコ・ロビンの資料、
今回の事件と関係もあるから併せて読んでねェ」

パサっとデスクに置かれた書類。
割と分厚いな、読むの大変そう何だけど。

「あと、ガープ中将が今から15分後に出るから
それに同行して来てねェ～」

「15分！？」

「いってらっしゃ～い」

鬼っ！鬼だ！！

僕はクッションをデスクの上に置いて
代わりに書類を手に取る。

あと15分って、どういうこっちゃ！！
僕は全力で走って港に向かった。