96話 ページ7
「セディお兄様、入っても良い？」
扉の前から声を掛けると、お兄様は部屋に入れてくれた。
兄「どうした？」
「私、リアム王子と結婚したくないの。あの人は私の力を知って、それを手に入れたくて…」
私は庭園での話をお兄様に話した。
兄「本当なのか…？」
「本当よ。お父様もお母様もあの人を信じてるから…私が頼れるのはセディお兄様しかいないの。」
兄「わかった。俺が調べてみるから。Aはもう寝な。」
お兄様は私を部屋まで送ってくれて、おやすみと頭を撫でてくれた。
お兄様が信じてくれて、調べてみると言ってくれた安心感から、私は眠りにつくことが出来た。
朝になり、目を覚ますと侍女がちょうど部屋に入ってきたところだった。
準備してくれた朝食を食べて、またリアム王子好みのドレスを渡される。
深いグリーンのコクーンドレス。
ドレス自体は素敵だけど、私の好みではないし、あんな人が選んだドレスを着る気になれなかった私は、侍女を押し切って自分が持っているドレスの中から山吹色のスレンダーラインドレスを着た。
お父様とお母様とリアム王子が居るだろう広間に行くと、既に準備は整ったと言われ、私はリアム王子の船に乗せられた。
お兄様の姿が一度も見られず不安になっていると、リアム王子が私に囁いた。
リア「僕の選んだドレスを着ないなんて、悪い子だね。」
「…」
リア「反抗のつもりかな？そうだ、セドリック様が僕の事を調べていたと、部下から聞いたよ。」
「え…？」
リア「どうしたんだい？動揺してるみたいだね？」
「お兄様に何をしたの…」
リア「僕の計画を台無しにされてはいけないからね。少し眠って貰ったよ。」
あの優秀なお兄様がこの人の部下に負けた…？
私は聞かされた事実に絶望した。
もしかしたらお兄様が助けてくれるかもしれないと思っていた。
でも、もう私に希望はない。
船が動き出し、盛大に見送られる。
リア「貴女はもう僕のモノだ。」
ニヤリと笑うリアム王子に腰を抱かれ、ゾワリと嫌な感覚が背中を走る。
「触らないで。」
リア「僕は貴女の婚約者なんですよ？まぁ今は良いでしょう。僕の城に着いたら、そんな言葉は言えなくなるようにしてあげますからね。」
そう言って笑いながら去っていく姿を見て、私は膝から崩れ落ちそうになるのを必死で堪えた。
このまま、海に身を投げうてば…あの人のモノにならずに済むのだろうか…
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シュリ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！今少し忙しいので、落ち着いたらまた更新します！！ (2020年7月19日 1時) (
レス) id: 907147449f (このIDを非表示/違反報告)
花 - 応援してまーす!!頑張って下さいー (2020年7月16日 23時) (レス) id: 411425b92f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年7月1日 23時
