94話 ページ5
その後、所定の手続きにより、婚約のための書類が作られた。
私にとっては枷でしかない契約書。
滞りなく、正式に婚約が結ばれてしまった。
そして記念撮影。
リアム王子は私の腰に手を回し、まるで本当の恋人のような甘い雰囲気を作り出す。
私はそれに笑顔を返すだけ。
作り笑顔には自信がある。
小さい時から、笑顔を求められることが多く、慣れてしまった。
きっとこの笑顔が作り笑顔だなんてことは誰にもバレない。
記念撮影も終わり、昼食を取った後、しばらく二人で話しでもしておいでと言われ、私は困惑した。
特に二人で話さなければならないことも無いし…
しかしリアム王子はその言葉にとても喜んで、庭園を散歩しながら話そうと私を連れ出した。
リア「A王女、今日そのドレスを着てくださっているのを見て本当に嬉しかったです。とても似合っています。」
「王子から頂いたものだと伺いました。ありがとうございます。」
社交辞令的にお礼を言う。
こんなの好みじゃないと言えたらどんなに良いだろうか…
リア「A王女、先程初めましてとおっしゃられましたが、実は僕達は初めましてじゃないんですよ？」
「え…？」
リア「一度社交会で。」
「そう…だったんですね…失礼しました。」
リア「いえいえ、無理もないですよ。その社交会では美しい貴女の周りにたくさん人がいましたからね。でも僕はその時から貴女に恋焦がれていたのです。」
「そう…ですか…」
リア「貴女は美しく、可憐だ。それにとても魅力的だ。特に…」
そこで言葉を切ったリアム王子は私の目を見つめて怪しげに笑い、私の耳元で囁いた。
リア「魔法の花の力がね。」
「！？なぜそれを…」
魔法の花の力のことは正式に結婚してからリアム王子に伝えるとお父様は言っていた。
なのに何故…？
リア「僕はずっと魔法の花の力に興味がありましてね。色々と調べていたんですよ。僕の部下はとても優秀なんです。貴女がその力を持っていると知った時は驚きました。貴女の婚約者になる為に、僕がどれほど努力をしてきたか…貴女さえ手に入れば、怖いものなどない。」
そう言って笑うリアム王子は先ほどまでと同一人物とは思えなかった。
「そんな…私たちを騙していたのね？」
少しだけ距離を取ろうと後退りながらそう言う私を、馬鹿にするように笑い、私が後ずさる分だけ、近づいて来る。
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シュリ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！今少し忙しいので、落ち着いたらまた更新します！！ (2020年7月19日 1時) (
レス) id: 907147449f (このIDを非表示/違反報告)
花 - 応援してまーす!!頑張って下さいー (2020年7月16日 23時) (レス) id: 411425b92f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年7月1日 23時
