107話 ページ18
一度涙を流してしまえば、魔法で少し苦しく締め付けられるだけで後から後から涙が流れてしまう。
リアム王子はその私の涙を、いくつかの小瓶に入れた。
涙の治癒力がいつまで保てるのか、実験するらしい。
用意された全ての瓶に涙を入れ終わると、私にかけられた魔法は解かれた。
逃げたくても逃げられないほどぐったりとしている私を見て、リアム王子は怪しげに笑う。
リア「さて、次は血だ。」
そう言ってフルーツナイフを取り出し、私に見せる。
抵抗出来ない私はその刃先を向けられ、目をギュッと瞑ることしか出来なかった。
左手を取られ、人差し指の先にナイフの刃が当てられる。
ゆっくりと私の肌を滑るナイフ。
そしてリアム王子に指先から血を押し出すように指をギュッとつままれる。
鮮やかな赤が指先を伝う。
ジクジクと痛みも込み上がってくる。
リア「美しい。」
恍惚の表情で私の指先の血を眺め、そっとその血を舐めたリアム王子。
ぞわぞわっと嫌な気持ちになるがそんなものはお構いなしと、リアム王子はしばらく私の指を舐め続けた。
リア「不思議だ。血がこんなにも甘いなんて…これが魔法の花の力なのか…?それに、なんだか疲れが取れていくような感じがするな…」
ぶつぶつと何かを言いながらリアム王子はまた小瓶をいくつか出して、そこに私の血を溜め始めた。
準備された瓶が、全て私の血でいっぱいになる頃には私は軽い貧血を起こしていて、意識がぼーっとしていた。
私が解放されたのは、もう辺りが暗くなってからだった。
まさに満身創痍。
魔法で強く締め付けられた身体は痛みが残っているし、切られた指先は雑な手当てしかされず、未だにジクジクと痛む。
おまけに血を取られすぎて貧血。
だけど私に一番ダメージを与えたのは、リアム王子の魔法による幻覚魔法。
あの真っ暗なところで、ラギーに捨てられ、ジャミル先輩達に責められ、精神的にかなりのダメージを受けた。
幻覚魔法だと理解はしたが、貧血でぼーっとする頭で考えていると、本当に幻覚だったのかが分からなくなって心臓が握り潰されるような感覚に襲われた。
リアム王子の召使いに横抱きにされ、与えられた私の部屋のベッドに運ばれた。
貧血で動けないから、夕食の代わりに栄養剤の点滴を打たれた。
リアム王子は明日も実験をするだとかなんとか言っていた。
こんな実験を続けられたら、おかしくなっていまいそうだ…
助けて…
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シュリ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます!今少し忙しいので、落ち着いたらまた更新します!! (2020年7月19日 1時) (レス) id: 907147449f (このIDを非表示/違反報告)
花 - 応援してまーす!!頑張って下さいー (2020年7月16日 23時) (レス) id: 411425b92f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュリ | 作成日時:2020年7月1日 23時