├ ＊ ページ24
自分はまだ人なのか、化け物なのか、そのどれでも無くてどれでもあるのか……足元がグラグラ揺れて、立つのも覚束無くなってしまう事が、本当に時々だがあるのだ。
例えばこんな風に、妙に感傷に浸っている時なんかや心労が溜まりつつある時にそうなりやすい。恐らく、脳内から警鐘を鳴らしているのかもしれない。一旦立ち止まって、考えるのを止めろと。
しかし、人間は眠っている時でさえも考えている生き物だ。考えるのを止めたくとも止められないのが、この生き物の悲しい性である。それを踏まえ、逆の発想をすれば自ずと答えが見えてくる。
つまり、確認したいのだ。自分が自分であるのかを。だから、定期的に自分の考えを客観的に見て、人である事を確認している。
我ながら幼稚だと思うが、これで今までやって来て大丈夫だったのだから、きっとこれが正解なのだろう。
さて、こんな事をしている間にも残り少ない昼休みが終わりに近づいていく。次は移動教室もない、普通科目の座学だった筈なので、教室へ戻ろうと足を進めるが、それ以上に気になる事が一つあった。
(あの人、さっきから見てますが……何故、すぐ戻ってくるのでしょう?)
先程から、渡り廊下を挟んで多目的校舎階段の前を彷徨く人の姿が異常な程目に止まる。しかも、その場から離れたかと思えば、またすぐに階段前に戻ってくるので尚更だ。何度も何度も同じ服装の人間がそこに居る為に、景色がいつまで経っても代わり映えしなかった。
いつもなら気にならない、本当に些細な出来事。と言うより、この場所はいつも通り過ぎるだけなので気になる筈もない。今、この瞬間に立ち止まってしまった為にこの様な事態に陥っているのだ。
あまり関わるべきで無い事を承知の上で近づいてみる。服装から見て女子生徒である事は明白だが、手入れが行き届いていなさそうなボサボサの銀髪や何処か慌ただしい動作が何とも女性らしく無く見ていられない。
しかし、幸いこの姿に見覚えがあった。
(確か、今年死神課に入学して来た生徒でしたね。名前は……あ、そうそう)
──ムーンライト。
月光と言う意味が込められた名前が印象的で、尚且つ覚えやすかった記憶がある。寮の部屋が近かったからと言うのもあるが、それでも彼女の名前は覚えやすかった気がした。
だが、僕は彼女との関わりは一切皆無である。年齢や性別の違いもあったが、最大の理由は彼女と関わるメリットが見出せなかったからに他ならない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
十二月三十一日(プロフ) - すふ丸【低浮上】さん» ご閲覧有難う御座います。そう言って頂けると光栄です。とても励みになります。内容が内容なだけにスローペースでの更新となりますが、今後とも応援宜しくお願いします。 (2018年6月8日 22時) (
レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
すふ丸【低浮上】(プロフ) - 突然のコメント失礼します。試験勉強の合間に読み返したくなるくらいお話が好きです(^o^)撫子さんとゼロさんの今後が凄く気になります！更新楽しみにしております、頑張って下さい！ (2018年6月8日 21時) (レス) id: 5ecb48edcc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：十二月三十一日 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月8日 23時
