先生へ -YG-

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受験勉強の中、彼との文通が唯一の安らぎのようになっていた。
白い箱は、気付けば蓋を閉めるのに少し力をいけなければならない程になり、新しい小箱を用意した。


春の暖かい日も、夏の暑い日も、秋の肌寒い日も
毎日彼を想った。
もはや偶像になりかけている彼に、早く会いたかった。

そうして過ごした日々を思い返しながら
冬の寒い日 まだ薄暗い空を見上げつつ、彼のいる高校へ電車を乗り継ぎ向かった。
試験監督が彼だったらどうしよう。
そうなると嬉しいような、困るような そんな気持ちで向かった試験会場に 彼はいなかった。





ミンユンギ様

とても寒い日が続きますが、お元気ですか？
先日、試験が終わりました。
結果が出たら、話したいことがあります。

A


そう書いた手紙をポストに入れ、試験のことを思い返す。
きっと大丈夫だ。
いや、やっぱり駄目かもしれない。
くるくると変わる感情への疲労と、ここまで必死でやってきた事が無駄になるかもしれないという恐怖心で居てもたってもいられなかった。


Aさん

試験、お疲れ様。
一生懸命頑張ったんだから、きっと大丈夫。
結果がわかった後の話を楽しみにしています。

ミンユンギ


二月の中旬
合格者の受験番号のみが記載されている小さな掲示板を見に行った私は心から安堵した。
一年生のあの日から、会いたくて仕方なかった彼にようやく会える。
そう思い、校舎を見上げると まだまだ厳しい寒さの中灰色にくすむ寂しいその壁すら愛しく思えた。


ミンユンギ様

高校受験の結果がわかりました。
ユンギさんが先生をしていらっしゃる学校に合格しました。
ずっと言えなくてすみません。
春、お会い出来るのを楽しみにしています。

A


やっとやっと書き終えたその手紙を 寒さとは違う震えを有する指先でそっとポストに落とした。
返事が来るのが少し怖かった。

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