. ページ11
.
『で、相手は？どんな子？』
ラ「ないしょです」
『なんで、教えてよ』
ラ「えー、やだよ。教えたくない」
クラスの子？それとも先輩とか？となかなか口を割らないラウールを質問責めにしていれば、ガラッと開いた控室の扉。
「あ、」
ラ「めめ！」
開いた扉の向こうに立っていたのは蓮で。リュックを片手で背負いながら「今日、早いんすね」と中に入って来た。
私のそばから逃げるようにしてラウールが彼の元へと駆けていく。…犬か。
ラ「聞いてよめめ、Aさんが揶揄ってくるんだよ…！」
『ちょ、別に揶揄ってはないよ』
ラ「でも、どうなの？ってニヤニヤしてながら聞いてきたじゃん、」
『それは、…青春っぽいから懐かしくてついつい聞きたくなって、』
目「なに、どうしたの？笑」
状況はいまいち理解していないものの私とラウが言い合ってるということはわかったのか、彼はおもしろそうに笑って私の前の席の椅子を引いて座った。
ラ「Aさんがね、バレンタインに彼氏にチョコあげようと思ってるけど手作りする時間はなくて、それで市販でもいいのかなっていじいじ悩んでたの」
『え、ちょっと待って、その話は、』
ラ「え？あー、」
口角を上げそう言ったラウールを軽く睨めば、彼はちょっと考えるように一瞬蓮をチラリと見た後、ふふんと笑った。
…なんで蓮の前で、
そう思って視線を彼にずらしたら、ジッとこちらを見ていた彼の瞳にぶつかる。
目「気にしなくてもいいっすよ、別に」
『…え？』
目「Aさんのことはもうきっちり、ちゃんと諦めたんで」
至っていつも通りの表情でそう言った彼に、なんか拍子抜けしてしまう。
…いや、別にいつまで経っても私のことを好きとか、そんなことは思っていないけど。
まあもうあれから2ヶ月くらい経つし気持ちの整理がつくのも当たり前か、と納得していれば「てか、」と彼が切り出す。
目「Aさんからもらったらなんでも嬉しいんじゃないですか？」
目「チョコ。あげんでしょ？あの人に」
『…あぁ、うん』
そう付け加えられて、首を縦に振る。それを見てふっと笑った彼は、なんか少し前とは雰囲気が変わったように思う。
てか、なんだ。チョコあげるのひとつで悩んでるのをこんなにみんなに知られるなんて、…なんか恥ずかしすぎないか、私。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4466人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ryuryu0528(プロフ) - 何回も読ませて頂きました。ぜひTwitterの方も読みたいです。 (12月31日 0時) (
レス) @page20 id: c47e3b9cc4 (このIDを非表示/違反報告)
kmgapsy03(プロフ) - 何回も読ませていただいてます！まだまだ物語終わってほしくないです！続き楽しみにしてます♡ (2022年3月2日 1時) (レス) @page20 id: 70d4c7f329 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございます…！ずっとゆるい感じが続いているので大丈夫かな？と思っていたので、そのように言っていただけて安心しました…！そんなに読んでいただけているなんて、！本当に嬉しい限りです！これからもよろしくお願いします…！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: 75c0547d0d (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - yikumiさん» コメントありがとうございます…！私の書きたかった空気感を汲み取っていただけているようですごく嬉しいです…！お読みくださりありがとうございます！今後もよろしくお願いします…！ (2021年2月16日 23時) (レス) id: 75c0547d0d (このIDを非表示/違反報告)
ぽき - このお話大好きです！！！主人公の女の子とふっかの世界がめちゃめちゃ好きです！！！だから、ダラダラな長い話になってでもずっと読んでいたいって、個人的に思ってます。今公開されてるやつだけでも、5回は読みました！それくらい好きです！！！ (2021年2月15日 22時) (レス) id: 15956853ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こゆき
| 作成日時：2020年11月4日 10時
