Dear My Lovers

■再会と変化するもの ページ42

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「やべぇ、初めてちゃんと終わったんだけど」


ぐいっと背伸びをした後、ごつんと音を立てて突っ伏した翔太。その反動でテーブルのアイスティーの表面が揺れる。


「今日は頑張ったわ、俺」
『おつかれ』

2限の空きコマをフルに使って課題を終わらせたらしい彼は、突っ伏したまま顔だけ少し上げて「すごくね？」とふにゃりと頰を緩ませた。

なにも言わないで黙ってその顔を見てたら、なんか返せよ的な目を向けられたからとりあえず。

『すごいねー』
「おい、棒読みすんなよ」

不満げに眉を寄せた彼に「ごめんごめん」と笑いかけて、ぱたりとパソコンを閉じた。

時刻は間もなく12時。



「あー頭動かしすぎて腹減った。なんか食い行こ、」

その言葉を合図に席を立って二人で構内にある食堂に向かう。


廊下を歩きながら、すれ違いざまにチラチラと見られるのはいつものことで。

自分で言うのもなんだけど、たぶん私は目立つんだと思う。

昔からそうだったからもう慣れっこだけど、翔太の隣だとその数はいつもよりも多くなるから少しだけ気になる。


でも気にしてても仕方がないからその視線を戻して、翔太と喋りながら歩いていれば、私たちの会話を遮断するように鳴った着信音。


「あ、わり、なんか電話きたから先行ってて」
『わかった。席取れたら連絡するね』


女の子から連絡来たのかなとか思ったけど、電話に出て話始めた彼の口調から察するにどうやらそうではないらしく。

真面目な話をしてるっぽいから、私はその場を離れて歩みを進めた。



……切ったんだもんね、遊んでた子たち。


いろんな女の子で遊んでると有名だった彼が、なにを思ったかその子たちとの関係を全員切ると私に連絡してきたのが少し前のこと。

どんな心境の変化があったのかは知らないけど、良い傾向であることに間違いはない。

彼はそのうち女関係のトラブルで刺されるんじゃないかと割と本気で思っていたから、友達として安心した。




食堂につけば、ちょうど昼時だからかそこは学生で賑わっている。


混んでんなー、仕方ないけど。

空いてる席あるかな、と席の方をきょろきょろと見渡しながら歩いていれば、どんっと誰かにぶつかって。



『っ、すいません』
「いや、こっちこそ、……って、」

『…あ、』「あ！！」


私の顔を見て一瞬驚いたように目を見開いたその人は、相変わらずの大きな声を出してニコニコとした笑顔を浮かべた。



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