■冬の朝の攻防戦 ページ36
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翌朝、カーテンの隙間から差し込む光の眩しさに、私は目を覚ました。
AM7:12
ベッドの横のサイドテーブルに置いてあった電子時計の文字盤を見て、一つ欠伸を落とす。
喉渇いた、
そう思って身体を動かそうとすると、するりと絡まった脚の感触と。それから、
………動け、ない。
がっちり腰をホールドする腕によって身動きが取れない。
『……離して、』
そう呟いてみたけど、まあその腕が離れるわけはなくて。
私の横で目を閉じて静かに眠っている彼の前髪を指で少しだけ掬う。
…なんか不思議な気分だ。
いつも隣にいて、だけど触れることはできなかった人が。今はこうして私の横で眠っていて、躊躇なく触れることもできる。
鼻筋綺麗だな、とか思ってちょっと手を伸ばそうとしたところで、
「…ん、」
じわりと開いた目。
眠そうな瞳がゆっくり動いて、私の姿を映した。
「……はよ、」
「…もー起きてたの？」
寝起きの掠れ声が擽ったくて、ぎゅうっと胸が甘く締まる。
『…ちょうど今起きたとこ、』
「いま、なんじ？」
『７時過ぎ、』
「…はや」
そう言うと眠そうに目を擦って、また眠りにつこうと私に回した腕に力を込めようとする。
一瞬流されそうになったけど、いやいやと目的を思い出して私はとんとんと彼を叩いた。
『…ねぇ、ふっか。私水飲みたいからこの手、離して。』
「んー、やだ。ってか、ふっか、じゃないでしょ？」
そう、まだ半開きの目で見つめられて昨晩のことを思い出した。
昨夜言わされた彼の名前は、まだ言うのを躊躇ってしまう。
「ほらー、早く言ってよー」とか言ってにやにや笑い出したから、彼の腕の中で暴れてなんとか出ようとするけど出れなくて。
『…辰哉。』
『離して、水飲みたい。』
彼の腕を掴んで剥がしながら無愛想にそう言えば、彼は一瞬固まって。それから目を細めた。
「どうせなら、もうちょっと可愛く言えよー、」
昨日の夜はあんなに可愛かったのになぁとかふわふわした声で言ってる彼に肘鉄を喰らわせて、「うっ、」と鈍い声を出したのを見て笑いながら、私はするりとベットを抜け出した。
……案外自然に呼べた気がする、うん。
"辰哉"なんて、私は一生呼ぶことはないんだろうと思ってたなぁ、なんて前の自分を思い返しながら。
冷蔵庫から取り出した水をコップに注いで、最近使われた形跡の全くないキッチンに立って喉に流し込んだ。
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こゆき(プロフ) - acoさん» コメントありがとうございます…！照くん、私も自分で書いていてチクチク心を痛めていました笑 いつになるかは分かりませんが、みんなが幸せになれるお話を書こうと思っているので、そこまでお付き合いいただけたら嬉しいです…！！これからもよろしくお願いします！ (2020年11月7日 11時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
aco(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！照に幸せになって欲しい！私が幸せにしたい！！なんて思いながら、一緒に心の端っこをチクチクさせてました。ふっかのお話だけど、照が好きな私はいつもどこかで照も幸せになって欲しいなって読んでます（笑）これからも応援してます！ (2020年11月4日 11時) (レス) id: fa0e891597 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - mikkyさん» こちらこそ、いつも読んでくださってありがとうございます…！コメント嬉しいです！わぁ、ほんとですか…！そのように言っていただけて嬉しいです…！これからもよろしくお願いします！ (2020年8月31日 18時) (レス) id: 19841568b6 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 更新ありがとうございます^ ^Twitterの方も読みました！素敵過ぎなお話でした...！ちょっと焦らされてるふっかさんも大好きです。（笑）またの更新待ってます^ ^ (2020年8月19日 23時) (レス) id: 27e731af2f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - きこさん» ありがとうございます、更新楽しみにていただけているというお声が聞けてとても嬉しいです…！申請、たぶん通していると思うのですが楽しんでいただけましたかね…？楽しんでいただけていたら幸いです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年8月19日 19時) (レス) id: 8e77232333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年6月17日 13時
