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『やっぱ味噌にして正解だったな、』
「さっきまでコテコテの豚骨がいいって言ってたくせに。」
味噌ラーメンに満足して、突如意見を変え始めた俺に、Aはふふっと笑い声を漏らした。
ラーメン屋を出た俺達は、Aを家まで送ろうと再び夜道を歩き出す。
『A、手。』
そう言えば、少し遠慮がちにAは俺の手に、手のひらを重ねる。
そしてその手を見て目尻を緩めるもんだから、キュッと小さく胸の奥が掴まれた。
そんなに好きなの?俺のこと。
わかりやすいくらい、嬉しそうな顔してる。
「ふっか、なんでそんな変な顔してんの?」
『ん?』
歩きながら、表情を崩す彼女を眺めていたらAは眉を下げて首を傾げた。
「なんか、…ニヤニヤしてる、」
『してねーよ?』
「してるじゃん、」
Aの綺麗な瞳がジッと俺を見つめる。
身長はそんなに変わらないけど、ほんの少しだけ上目遣いなのは意識してやってんのか、それとも無意識なのか。
『えー、してた?…んー、Aが可愛かったからかも。』
「っ、」
俺を見つめていた彼女の瞳の奥が、熱っぽく揺れた。
可愛いとか、好きとか。
そういう甘い言葉をかけたらAはこういう顔すんだな。
でもその顔が見れるなら、何回だって言うよ、俺は。
『お前、案外わかりやすいよな。』
「なにが、」
『思ってること顔に全部書いてある、』
『俺のこと好きだって。』
そう言えば繋がっていた手がギュッと締められて、ほんのり頰を赤らめた彼女が「うるさい、」と顔を逸らした。
ちょっと揶揄いすぎたからか、Aはきゅっと口を結んで、視線をフラフラ彷徨わせる。
それからまた、彼女の視線が俺のところに戻ってきた。
「……わかってないと思う。」
ぼそり。
閑静な住宅街で、Aの呟いた声は案外クリアに聞こえる。
「私がどれだけふっかのこと好きかまでは、まだわかってないと思うよ。」
……あぁ、もう。
だからお前、いつからそんなに素直な子になったんだよ。
恥ずかしそうにそう呟いた彼女を、俺は堪らなくなって抱きしめた。
────赤くなった顔を見られないように。
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こゆき(プロフ) - acoさん» コメントありがとうございます…!照くん、私も自分で書いていてチクチク心を痛めていました笑 いつになるかは分かりませんが、みんなが幸せになれるお話を書こうと思っているので、そこまでお付き合いいただけたら嬉しいです…!!これからもよろしくお願いします! (2020年11月7日 11時) (レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
aco(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます!照に幸せになって欲しい!私が幸せにしたい!!なんて思いながら、一緒に心の端っこをチクチクさせてました。ふっかのお話だけど、照が好きな私はいつもどこかで照も幸せになって欲しいなって読んでます(笑)これからも応援してます! (2020年11月4日 11時) (レス) id: fa0e891597 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - mikkyさん» こちらこそ、いつも読んでくださってありがとうございます…!コメント嬉しいです!わぁ、ほんとですか…!そのように言っていただけて嬉しいです…!これからもよろしくお願いします! (2020年8月31日 18時) (レス) id: 19841568b6 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 更新ありがとうございます^ ^Twitterの方も読みました!素敵過ぎなお話でした...!ちょっと焦らされてるふっかさんも大好きです。(笑)またの更新待ってます^ ^ (2020年8月19日 23時) (レス) id: 27e731af2f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - きこさん» ありがとうございます、更新楽しみにていただけているというお声が聞けてとても嬉しいです…!申請、たぶん通していると思うのですが楽しんでいただけましたかね…?楽しんでいただけていたら幸いです!今後もよろしくお願いします…! (2020年8月19日 19時) (レス) id: 8e77232333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こゆき | 作成日時:2020年6月17日 13時