■青い春の記憶 ページ15
>Fukazawa side.
昔より長くなった髪。
アップにした黒髪の横から首筋に流れる後れ毛を眺めながら、「なぁ、」と彼女に声をかける。
「なに？」
『なんでそんな格好してんの。』
黒のタイトスカートにゆるいベージュのニット。
耳にはクリスマスに俺があげたピアスがキラリと光ってる。
「……え、変？」
『ちげーよ、その逆。』
なんで同窓会行くのにそんな可愛い格好してくのさ、お前は。
昔みたいな、オシャレなんか全然興味ない的な格好してけよ。
ほらよく着てたじゃん、だっさいキャラクター描いてある服。あーゆーのでいいんじゃねーの？
なんて心の声はもちろん漏らさないけど、さっきからじわじわと心の奥に溜まっていく。
別に独占欲とかはないけど、"今日だけは"。
これから向かう場所には、過去がたくさん詰まってて。
過去に戻るってことはあの夏の日の記憶が蘇ってくるような気がして嫌なわけよ、俺は。
なのにそんな日に限って、少し前を歩く彼女に向けて伸ばした手は、するりと躱される。
「…もう着くから、」
『まだ着くまでちょっとあるけど、』
「……見られたら恥ずかしい、」
ほんとにそれだけ？
誰か、知られたくない奴がいるからじゃなくて？
だんだんと近づいてくる今日の会場だという建物。
この信号が青に変われば、あと少しで着いてしまう。
『…やっぱ来たくなかったなー、』
「まだ言ってんの、それ。そんなに嫌なら来なきゃ良かったのに、」
『それはそれでダメなんだよ、俺の知らないところで何か起きたら困るから。』
そう言ってちらりと横を見れば、Aは「何かってなによ、」って俺の心配なんか全くわかっていないみたい。
『なぁ、なんかご褒美ちょーだい。そしたら耐えられる。』
「…なんで私が、」
『…A、』
今日会った時から、どこかその横顔に憂を帯びてる気がしたのは、俺の気のせいだって信じたかった。
『お前明日なんも用事ないんだっけ、』
「…うん、ないよ。」
同窓会が終わったら、そのまま電車に乗ってそれぞれ家に帰るつもりだったけど、やっぱそれなし。
『…今日終わったらさ、そのまま俺ん家泊まってって。』
それがどういう意味を持っているのかは、どれだけ鈍いAでもさすがにわかったみたい。
動揺したように声を漏らした彼女は少しの間の後、「っ、…わかった、」と揺れる瞳のまま小さく頷いて。
少し染まった頬を見て、やっとギスギスしていた心が落ち着いた。
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こゆき(プロフ) - acoさん» コメントありがとうございます…！照くん、私も自分で書いていてチクチク心を痛めていました笑 いつになるかは分かりませんが、みんなが幸せになれるお話を書こうと思っているので、そこまでお付き合いいただけたら嬉しいです…！！これからもよろしくお願いします！ (2020年11月7日 11時) (
レス) id: 7e9ebf3478 (このIDを非表示/違反報告)
aco(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！照に幸せになって欲しい！私が幸せにしたい！！なんて思いながら、一緒に心の端っこをチクチクさせてました。ふっかのお話だけど、照が好きな私はいつもどこかで照も幸せになって欲しいなって読んでます（笑）これからも応援してます！ (2020年11月4日 11時) (レス) id: fa0e891597 (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - mikkyさん» こちらこそ、いつも読んでくださってありがとうございます…！コメント嬉しいです！わぁ、ほんとですか…！そのように言っていただけて嬉しいです…！これからもよろしくお願いします！ (2020年8月31日 18時) (レス) id: 19841568b6 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 更新ありがとうございます^ ^Twitterの方も読みました！素敵過ぎなお話でした...！ちょっと焦らされてるふっかさんも大好きです。（笑）またの更新待ってます^ ^ (2020年8月19日 23時) (レス) id: 27e731af2f (このIDを非表示/違反報告)
こゆき(プロフ) - きこさん» ありがとうございます、更新楽しみにていただけているというお声が聞けてとても嬉しいです…！申請、たぶん通していると思うのですが楽しんでいただけましたかね…？楽しんでいただけていたら幸いです！今後もよろしくお願いします…！ (2020年8月19日 19時) (レス) id: 8e77232333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こゆき
| 作成日時：2020年6月17日 13時
