鱗のつばさ (ページ4)

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部屋を出ると、おはよう！と寮生のみんなから挨拶をもらう。

いくら今まで休んでいたとは言えど、ずっと部屋にいる存在を隠し通すわけにはいかない。

それ故に今年新しく入ってきた新入生にはすでに自己紹介は済ませてあった。

同級生や先輩方はすでに自分の存在を知っている。

ここならあまり騒ぎにはならなかった。

寮と学校を結ぶ鏡の前に行くと、見慣れた三人の影。

昔馴染みのアズールとジェイドとフロイドだ。

やっぱり三人で並んでいるとでこぼこ感がとにかく目立つ。

「おー、グレイおはよぉ」

「おはようございます、グレイ」

「おはよう。ジェイド、フロイド。アズールも昨日は迷惑をかけたね」

「いえ、なんてことありませんよ。対価もしっかりいただく予定ですし」

昨日、というのも長い間部屋から足を使わなかったせいで、人間の足の動かし方を忘れてしまっていたのだ。

普段は部屋から出るときは水槽だったし。

だから身長の差が双子よりも小さいアズールにモストロ・ラウンジで歌う代わりに歩行練習に付き合ってもらっていた。

「ずいぶんと他寮にも知れ渡っているふうだね？」

「そりゃあもう。歌姫の復活となれば誰もが食いつく。そしてラウンジの売り上げが増える」

「あはは、そりゃよかった。僕もいい場所を使えて嬉しいよ」

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