鱗のつばさ (ページ23)

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story22 ページ23

side監督生
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簡単にこちらの聞きたいことを当ててきた先輩は、優しい顔で頬杖をつく。

メニューを見たとき、ついてくる飲み物はほとんどがハーブティーだった。

きっと緊張しないように暖かい飲み物にしているんだろう。

ひとつ深呼吸をして、口を開いた。

「実は……私、好きな人がいるんです。でも私は他の世界から来たし、その好意を口に出していいのかわからなくて」

「そっかそっか、恋する乙女は大変だなあ。……僕だったら、だよ？僕だったら伝えるかな。だって最初から叶わない恋なんてないでしょう？あの人魚も、実力で王子の隣を手に入れた。努力があれば報われる恋もあるんだよ」

ポケットのメモを一枚破った先輩は、かりかりとなにかを描いていく。

かわいらしい絵柄のそれは人魚の絵だった。

その人魚の隣には私には読めない文字が書かれて。

とん、と横に軽食と飲み物が置かれる。

先輩は飲まないんですか？と聞けば僕はさっき賄い食べてきたから～と軽い返事が返ってきた。

「私の恋も、報われますかね」

「それは監督生の頑張り次第じゃないかなあ？でも僕は応援するよ。だってこうしてきみは僕に吐露してくれたんだもの」

非の打ち所がない人間というのはこういう人のことを言うのだろうか。

先輩の背中から生えた羽は鱗のように煌めいていて、置物みたいにぴくりとも動かない。

こうして詳しい詮索はせずにただ話を聞いて答えを出してくれる。

そりゃあクラス中の話題になるわけだと納得した。

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