鱗のつばさ (ページ47)

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「どうせあっちでも食べると思いましたが軽食くらいは摂っておかないとまずいかと思いまして」

「！助かる！ありがとう！」

中に招き入れ、机の上の物をどかす。

いかんせんドレスを布団の上に投げたせいで部屋がちらかっているけれど。

椅子も机も折り畳み。

二脚椅子を取り出して、向かい合わせに開く。

「なにを迷っていたんです？」

「いやあ、珊瑚色に髪の毛を染めたらドレスが似合わなくて……」

トレーの上に乗った飲み物がふたつと小さなパンケーキ。

さくさくとナイフで切りながらそう言った。

ぴたりと目の前のアズールの動きが止まる。

「そこの紫のではダメなんですか？」

「いやあ、髪の毛も服も淡い色だと浮くかなあと」

パンケーキにバターと生クリームを乗せる。

やっぱり食堂のパンケーキは美味しい。

オレンジジュースを啜って、パンケーキを口に運ぶ。

おもむろに立ち上がったアズールは、クローゼットにかかった一着の上着を取り出した。

真っ黒のレースで編まれたカーディガンだ。

「ちょっとドレスを着てそこに立ってみてください」

「……？りょうかい」

パンケーキを食べていた手を止めて、ドレスに手を伸ばす。

別に今さら肌を見られたところで恥ずかしさを感じることはないので、

青いTシャツを脱いで淡い紫のドレスに袖を通した。

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