DEAR．大切な君へ～Kei.I (ページ10)

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Dear.８ページ10

あなたside

ﾋﾟﾛﾝｯ

ﾋﾟﾛﾝｯ

『ん……なに…？』

スマホの通知音で目が覚める。
服やら机の上を見て、しばらく考えて思い出す。
あ、昨日はそのまま寝たんだ…

そんなことを考えながらスマホに手を伸ばして思わず固まった。

『……慧』

画面には昨日追加されたアカウント。
トーク画面を開けない。
…怖い。
そう思いながらも気になるのも事実なわけで。

ゆっくりと深呼吸して画面をタップした。

けいおはよ

けいねぇ、昨日楽しみに待ってたのになんで連絡してこなかったのさー

けいちゃんと連絡するようにー!あ、電話も出るんだよ??

画面にはそれだけ。
昨日だってそう。
ねぇ、どうして…？なんで…

『なにも、聞いてこないの…？慧』

そう呟いたときだった。
画面に新たな文字が追加された。

けいあ、既読ついた!

けいねぇ、Aー?

けいあれ、既読無視?!

返事をしないのをいいことに、ポンポンポンポンと文字を送ってくる慧に、思わず笑ってしまう。

『もう…』

“ねぇA〜
聞いてる？？”

“もう、無視しないでってば
ねぇ〜！”

“もう！慧うるさいっ！(笑)”

“ふふっやっと返事してくれた”

『昔と、変わらないね…慧』

昔のことを思い出しながら、入力していたからか、あの時と同じ言葉を送っていた。

Aもう、慧うるさい笑

けいあ、やっと返事してくれた!

その後に返ってきた言葉に呆然とする。

ﾎﾟﾀｯ

画面が涙で濡れていく。
悲しいからか、あの時何も言わず消えた罪悪感からか、それとも、10年間なんの繋がりもなかったからか。

なぜ涙が零れたのか、あまりにも複雑すぎてわからないけどこれだけは言える。

文字だけど、面と向かっての会話じゃないけど、あの頃と同じ会話をしたことが、嬉しかった。

あの頃に少し戻れた気がして、嬉しかったんだ―――――――