DEAR．大切な君へ～Kei.I (ページ4)

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Dear.２ページ4

あなたside

『･･･ただいま』

小さな声でそう呟いても返事は返ってこない。

そりゃそうだ。
一人暮らししてんだもん。
返ってくるはずがない。

でも、やっぱり寂しい。
“おかえり”って言ってくれる人がいないのは。

そんなことを思いながら、終わらなくて持ち帰ってきた仕事たちを机に置き、台所へと向かった。

お湯を沸かしてココアを作り、めんどくさいので簡単な夕飯を作る。

作り終わったものをテーブルに運び、挨拶をして食べ終わし、お風呂に入って楽な格好に着替えてようやく一息つけた。

『やっば。もう１９時じゃん。
早く終わらさなきゃ･･･』

帰る間際に上司に渡された紙。
明日会議に使うから明日までに資料を作成して提出しろと言われた。

･･･帰る間際に。

“あんたは元々仕事でも、こっちは明日休みなんだよ”
そんな事を言えるわけもなく引き受けた結果、家でやってんだけども。

〈明日は各地で雪が降る予想です〉

テレビから流れてくる、有難くない情報。
明日、会社に向かう身としては雪はやめて頂きたい。

『はぁ･･･』

思わずため息が零れ、首を降る。

ダメダメ。ため息ついたら幸せが逃げる。

よし、早く終わらしてさっさと会社に持っていって家で寝よう。うん。

そう思い、パソコンを起動し資料作成をし始めた時だった

〈続いてはHey! Say! JUMPの皆さんです〉

聴こえてきた単語に思わず手が止まり画面を見る。

画面には、笑顔で挨拶をしているJUMP。
けれど、私の目はたった一人だけを映していた。

キノコみたいな頭に綺麗な肌、綺麗な手を持ち、独特な声の持ち主、･･･伊野尾慧を。

『･･･忘れてるんだろうな』

笑顔で楽しそうにメンバーさんと笑っている姿に、無意識にそんな言葉が零れていた。

実家が隣のため、物心つく頃にはもう一緒に遊んでいた。

ずっと一緒にいるもんだって思ってたのに。

ずっと隣で大好きな彼の声が聴けると思ってたのに。
一緒に笑っていられると思ってたのに。

『･･･遠くなっちゃったな』

このまま見ていたら仕事は終わらないし、苦しくなる。

そう思った私はテレビを消した。

────忘れようと努力して忘れられなかった想いを消し去るように。