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伊「好きな人でもようやく出来たか!」

顔を見合わせて数秒で、これを言ってくる編集長。

『……できません』

反論しても、好きなように話が広がっていく。

伊「どんな人がいい?やっぱ、イケメンだったりする?」

きらきらな目を向けられても答えようがない。福良さんは笑っているだけで、河村さんは寧ろ楽しそうに私の返事を待っている。川上さんはソファーでスマホを弄っていた。

『自分を好きでない人間に、人を好きになれると思いますか』

その答えに伊沢さんは笑った。

伊「大丈夫。好きになれる」

その自信が私にはなかった。
冷めた場に一際テンションが高い声が響いた。

須「湊ちゃんは、ツンデレだから!」

こんなツンデレがいるのなら、世界からツンデレと言われる人が可哀想だ。
ただ素直になれないだけじゃなく、最後の瞬間を知ってもなお素直ではないのなら、そんな彼らは悲しすぎやしないか。


河「デレたところ、見たことないんだけど」



助けは、求めていない。
特に彼らに、求めるはずがない。

彼らは優しすぎるから。
きっと放っておいてくれないから。

後一ヶ月?
彼らの優しさが身にしみるにいい時間じゃないか。

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作者名:黒い狢 | 作成日時:2019年8月27日 0時

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