【ONEPIECE】幽霊少女と大海賊時代 (ページ10)

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⑨幽霊少女視点ページ10

チョッパーくんは優しくて、会話がはずんだ。

この子になら私の秘密を打ち明けてしまってもいいや。

…元々隠してるつもりではないし、

隠そうと思ったことも無いんだけどさ。

そして、私がこっちの世界に来る前の話をしようと口を開いた。

…その瞬間、壁から声がした。

「…それって、元々は違う世界に生きていたってこと？」

綺麗で女性的な目と耳と口が、壁に浮かんでいた。

ずっと、話を聞かれていたのだ。

「えっ、目と口が壁にっ！？」

怖い、この船は本当に何なのだろうか。

ロボット、スケルトン、喋るトナカイ、目と耳と口が浮かぶ壁。

「あら、驚かせたかしら？

ごめんなさいね。悪気はないわ。」

今話している感じは悪そうな雰囲気ではないけれど…

まあ、チョッパーくんのお友達だろうから大丈夫かな。

そんな風に、楽観視していた。

「うわあっ、ロビン、俺気づかなかったぞ！？」

っと思った矢先にチョッパーくんが私より驚いている。

…本当にお友達かな。

でも、名前を知っているってことはお友達か。

「えっと、どちら様で…？」

とりあえず、身分だけでも聞いとかないと…！

未だに心臓がバクバクしている。

…幽霊なのに、心臓はあるのかどうかと聞かれたら、私自身も分からない。

有るか無いかすらも分からない心臓を落ち着かせて、口を開いた。

「私はロビン。この船の考古学者よ。あなたは噂のAね。」

凄く落ち着いた人だなぁ、と思った。

それと同時に、美しい人だなぁとも感じた。

「あっ、はい、そうです！

突然お邪魔してすみません。」

…幽霊になってから、こんなに驚いたのは今日が初めてだ。

「あ、それで、元の世界ってなにかの話でしたよね！」

「…私、前の世界では病衰ですぐに亡くなってしまって…。

折角できた友達が悲しむのを、幽霊の姿のままで見ていることしかできないのが悲しくて、

無理矢理四十九日が来る前に天に昇ろうとしたら何故かこの世界に来ていたんです。」

過去の傷はまだ癒え切っていないけれど、

もうクヨクヨしているだけの自分ではいけないんだよね。

…いちばん悲しいのは、残された人たちだもの。

「…無理に話さなくてもいいんだぞ。」

チョッパーは、思ったより重い話だと思ったのか困った顔で私の手を握った。

「無理はしないで。」

最初は怖かったけれど、ロビンさんもとても優しい人だということがわかった。