【ONEPIECE】幽霊少女と大海賊時代 (ページ6)

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一方、船の上ではチョッパーも落ち込んでいた。

その瞬間、涙がチョッパーの座っていたカウンター席のテーブルの上に滴り落ちた。

…チョッパーがこんなに落ち込むなんてらしくない。

夜になっても、ルフィやウソップ、ゾロたちがいないキッチンでチョッパーは

サンジの作ってくれたわたあめを一口も口にしないでただただ泣いていた。

…どこが、チョッパーをここまでにしたのだろうか。

「あら、船医さん、そんなに落ち込まないで。」

ロビンもそう言ってチョッパーの背中をさする。

「うん…ロビン、ありがとう。

俺、絶対アイツを見てけて仲良くなるよ！

…俺はルフィやドクターたちに救ってもらったけど、

アイツはまだひとりで誰にも救われないままだ。

…俺はルフィじゃねぇけど、きっと心の傷を治して見せるよ。」

チョッパーは、泣いてなんかいねぇ、と言いながら腕で涙を脱ぐってそういった。

「まあ、頼もしいわね。」

ロビンは、口角を少しだけ上げてニコリと笑った。

そんな平和で優しい麦わらの一味の船、サウザンド・サニー号を探して彷徨う1人の少女がいた。

そう、幽霊少女だ。

涙をうっすらと涙袋に浮かべながらも、

船医チョッパーを探している。

幽霊少女は夜でも尚水上で輝く大きな船を見て、ああ、あそこに彼はいるのだと確信した。

どうやら今は宴をしているようで、

「ビンクスの酒」を歌っている。

…懐かしいな、私の大切な歌。

まさかここまで広まっているなんて。

なんだか、照れくさいよ。

幽霊少女は耳を少しだけ赤く染めながら、そう思っている。

楽しげな歌声と演奏、飲食音を聞いて、

私はもうこういう楽しいパーティーに混ざることは今後一切ないのだろう

と考えては、幽霊少女はビンクスの酒を口ずさむ。

「ビンクスの酒を届けに行くよ」
「海風、気任せ、波任せ」

一見楽観的に聞こえる歌詞は、何も無いただ青いだけの海に木霊している。

そして幽霊少女は大船の宴をよそに、

「あの、昼間にあったトナカイくんはどこですか？」

とナミの肩を叩く素振りを見せた。

…実際は、誰かの肩を叩くことは出来ない。

幽霊は、何にも触れることが出来ない。

「うわあっ！ってアンタね、びっくりしたわ。」

ナミは突然の後ろからの気配に思わず大きな声を出した。

出来れば誰にも見られたくなかった幽霊少女は項垂れるが、

そんなことはお構い無しにルフィたちが近付いてくる。