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だからこそ、種族を間違われることはとても屈辱的なことだ。
「…えっと、ごめんね。」
当然の大声に幽霊少女はびっくりして、
ごめんの一言だけを残してどこかへ消えていってしまった。
足からどんどん薄くなっていく幽霊少女を引き留めようとルフィは腕をのばし、
捕まえようとするも幽霊少女には触れられなかった。
「行っちまったぞ、アイツ。」
ルフィは、急にどうしたんだと頭の中をクエスチョンマークで埋めつくしている。
「どうしよう、みんなぁ…！俺のせいでAが帰っちまった…。」
それに対してチョッパーは、
幽霊少女が自分のせいで薄くなってしまったのだと自分を責めた。
「あ、安心してチョッパー！
あの子はもしかしたら疲れたから帰ったのかもしれないわよ！？」
「そうだチョッパー！
それに、神出鬼没ってキャッチフレーズ聞いたろ？
普通にしててもいつの間にか消えちまうんだよ！」
ナミとチョッパーはうっすらと涙を浮かべるチョッパーをみて、
必死に弁解しようと頑張っていた。
…さて、幽霊少女はどこへ行ってしまったのか。
どうして、消えてしまったのか。
チョッパーの言葉に傷付いたからか？
驚いたのか？
それとも、ナミの言うように
疲れてしまったのか？
はたまたウソップの言葉通り、
そういう運命だったのか？
…真相は、今は誰にも分からない。
しかし、幽霊少女自身だけは例外だった。
サウザンド・サニー号から少し離れた孤島に、幽霊少女はいた。
「はぁぁ、どうしてあのタイミングで消えちゃったんだろう。
名前、聞きそびれちゃったけど狸…じゃなくてトナカイくんが
罪悪感を感じてないといいけれど。」
…そう、ウソップの意見通りだ。
幽霊少女の意志とは全くもって関係なく、
そういう運命だったということだけだ。
「…やっぱり、私はもう誰とも関わるべきじゃないんだと思う。」
「どうすれば、自分の意思とは関係なく消えてしまうなんてことが無くなるんだろう。」
「誰か、私を救ってください。」
…久しぶりに名前を呼ばれた気がして、
振り向けばそこは宴の会場で、
楽しめばその内消えてしまうような。
誰とも仲良くなれないんだろうか、と憂うことすら許されないような自己嫌悪感が
幽霊少女の頬を伝った。
意味の無い涙が滴る音だけがこの島に響いている。
「…俺、医者なのに、アイツの心の傷をかえって広げちまった。」
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作者名：名無し | 作成日時：2021年9月12日 16時
