【ONEPIECE】幽霊少女と大海賊時代 (ページ12)

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⑪幽霊少女視点ページ12

「…その、まだまだお話していたいんだけど、

また当然消えてしまうかもしれないから…

そろそろ、私は帰ろうと思うよ。

自分の意思に反しながらするさようならはいちばん悲しいと思うし。」

本当は別れたくないんだよ。

でも、お話のクライマックスで予期せず裏切られるなんて悲しいことだから。

「…そうか。ごめんな、引き止めて。」

チョッパーくんは項垂れている。

その隣で、ロビンさんも眉を困らせている。

…なんだか今日は、やけに疲れてしまう。

元々、人と会話をすることは大好きだ。

自分とは違う考えの人間と話すことは、刺激的だから。

でも、もう長らく人と話してなかったせいかもしれない。

すぐに疲れてしまう。

…もう、元の私には戻れないんだ。良くも悪くも。

「…なあ、今はまだ無理かもしれないけど！

俺、必ずお前が消えないでいれる薬を作るよ。」

「ええ、私も協力するわ。

…あなたがまた、友達と笑い合えるように。」

…どこまで優しいんだろうか、2人は。

なんでほとんど話していない私にここまでしてくれるのだろうか。

…私は、人に優しくされるに値しない。

元の世界にいたとき、すぐに死んでしまうとわかりながらも、

自分を大切に思う人を増やしてしまった。

…あのとき、最低な行動をすれば良かったって今でも思うんだ。

そうしたら、きっと私を失ったときの心の穴が小さく済むんだろうから。

…きっと、失った方が、置いていかれた方がいちばん悲しいのに。

友達の悲しむ姿に胸が痛むからと逃げた私は、

臆病者だ。

「…ごめん、ありがとう。」

そして私の体は薄く透けていった。

今度はなんていいタイミングなんだと思った。

…私は気付けばあの孤島についていて、

遠くまで飛んだ形跡もそこには残されていない。

…さっきの出来事は夢だったのではないかと疑うくらいに、

私に疲労感はなかった。

…夢だったらどれだけ良かっただろうか。

夢だとしたら、そうしたら、無駄に希望を見いだせないで

ズルズルと引き伸ばしにして生きることはしないのだろうから。

…そんなことを思ってしまう自分が醜いことに気づいたのはついさっきのことだ。

誰とも接さなくなってからというものの、

反省をすることが無くなった。

相手の気持ちを考える以前に、

相手が誰一人としていないんだから。

…「ビンクスの酒」。

生前、私の友達が作った歌。