【ONEPIECE】幽霊少女と大海賊時代 (ページ11)

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⑩幽霊少女視点ページ11

「いえ、大丈夫です。

…寧ろ、ここで全てを喋ってしまった方が楽なんですよ。

ずっとひとりで抱えているのは、辛くて。

あ、なにか質問とかありますか？」

そうだ、その方が断然楽だ。

今まで心に蓋をしていたのが馬鹿みたいに、

なかったのことのように、

ずっと紡ぎたかった言葉が次々と口から出ていく。

「ありがとう。それで、四十九日って言うのは何かしら。」

そっか、この世界には四十九日なんてないのか。

…ってことは、幽霊も私ひとりくらいしかいないのかな。

「えっと、私自身も詳しくなくてとても曖昧になってしまうんですけど…

私の元いた世界では死んだら天国か地獄の2つ…

通称「あの世」に行くことになっているんです。

でも、直ぐに行ってしまったら大切な人を見守れないから、

49日間、あの世には昇らないでいられる期間のことです。

…まあ、私もほとんど知らなくて、

もしかしたら間違っているのかもしれないんですけどね。」

本当にこれが合っているかは知らない。

元の世界だったらネットがあるから調べられたけど、

生憎こっちにはそういった機器がない。

あったとしても触れられない。

「興味深いわね。」

「物知りだな、Aは！」

太陽みたいに輝くチョッパーくんの笑顔と、

上品で花畑に咲き誇る花みたいなロビンさんの笑顔を浴びて、

私は釣られて笑顔になった。

…こんな話題、笑って話すようなことではないことはわかっているのだけれど、

2人があまりにも興味をそそられたようにこちらに耳を傾けるものだから、

思わずなんでも話してあげたくなってしまう。

「ごめんなさいね、あなたがとても嬉しそうなものだから。」
「ごめんな、笑っちまって。」

フワリと笑顔は萎んでいって、

ふたりは私に謝った。

…とんでもない、誰かと話をすることって、こんなに楽しかったんだって改めて実感させられたもの。

「いえいえ。…それに、幽霊になってからはこんなに楽しい会話をしたのは初めてなんです。

ちょっと年寄りくさいこと言いますけど、

楽しそうに話を聞いてもらうって本当に嬉しいんですよ。」

誰とも話せなかったときの自分を思うと、

思わずキュッと胸が痛む。

…また、いつの間にか消えてしまうのかな。

途端に、ひとりになることが怖くなった。

…この笑顔をいずれ私は忘れてしまう。

思い出しても、辛くなるだけかもしれない。