戦える14 ページ15
まあ別にこちらが相手してやる理由もない。
そのまま無視して通り過ぎようとしたが、それは叶わなかった。
強い力で手首を掴まれ、壁に叩きつけられる。
手首を壁に縛り付けるその手を振りほどいてもよかったが、それはコイツの用件を聞いてからでも遅くはないだろう。
「…何の用? さっさといきたいんだけど」
端からみれば甘い光景。しかし、私達の間に流れる空気は冷え冷えしたものだった。
「…暗黙のルール、知ってるよね? Eクラスは他のクラスに口答えできないって」
だからなに? といいたげに見つめると、答えが返ってきた。
「…君はBブロックで、僕はGブロックだから今大会で対戦する事はない。だから、いつか…いつか、僕と対戦するまで。――――絶対に負けるな。負けたら自主退学しろ。口答えはするなよ」
そう言ってトン、と私の首に正面から人差し指をあてがった。
「宣戦布告」「ブッ倒す」、そんな意味合いを込めて他人の首を指差す。
―――上等。
「で、賭けをしよう。ベタだけど、勝った方が相手に一つ何でも命令できる。僕は立場的に君に何でも命令できる。でもそれじゃ面白くないから先に提示しておくよ。僕が勝ったら、Eクラスらしく隅でうずくまってろ。もっと惨めになれ。気に入らないんだよ、その態度」
眉間にだんだんシワがより、首にあてがった人差し指もグッ、と力が入った。
…Eクラスに対する激しい嫌悪。これは一種の刷り込みだ。
どちらも嫌な思いをするのか。だったら私の願いは変わらない。
私は空いている方の手で人差し指を掴んだ。
少したじろいで、彼は半歩さがる。
それに追い打ちをかけるように、ジッとその目を見つめた。
「私の要求は、Eクラス制度をなくすために、助力してほしい。それだけだ」
「ッ…」
「そういえば、名乗ってなかったよね。渡貫あずさ。アンタは?」
「…月島蛍」
こんなにもギスギスした自己紹介ってあるんだろうか。
そう思うと少しおかしくて、口許がゆるんだ。
…あ、武田先生に本返さなきゃ。
私は「そ」とだけ言って掴まれた腕をほどき、その場を後にした。
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志織(プロフ) - ルルさん» ありがとうございます(笑)まあ矢巾くんも色々あるので、よければ彼のことも見守ってあげて下さい(笑) (2017年1月20日 19時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - うわぁ、この辺凄いムカツク。屈辱的な負けはryって言うのは酷い言いぐされですよ!Eランクだって、侮辱され続けるのは癪に触るんですぅ!夢主ちゃんは下克上、上等なんですぅ!あ、更新頑張って下さい (2017年1月20日 2時) (レス) id: e052dda088 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 瑠璃さん» お気に召して頂けたようで良かったです(*^^*)設定多いと自分でわからなくなりそうだったので、これくらいの設定量になりました(笑)コメント、ありがとうございます! (2017年1月18日 1時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃 - ファンタジー系は設定が無駄に多くついていけない所があって苦手なのですが、この話は徐々に紐が解けていってとても面白いです!!更新楽しみにしてます!! (2017年1月17日 19時) (レス) id: c4ea085584 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - キャロルさん» 気になって頂けたなら書き直したかいがありました(*^^*)ありがとうございます! (2017年1月14日 19時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2016年3月28日 22時