こっちを向いてよスーパースター #木兎 ページ5
「こらそこ。制服、着崩しすぎ」
「え〜〜〜いつものことじゃん見逃してよぉ」
「あのな、頭髪検査がある時くらいはメイクもマニキュアも髪染めもアクセもやめろって言ってんだろ」
そう言ってガシガシと頭を掻く担任と二三言葉を交わして校門を通り抜ける。 その格好も程々にしろよ。 原っちもハゲは程々にね！
アタシはいわゆるギャルと称される部類に属している。ここ梟谷学園の校風として「自由」がモットーという節があるため、身なりの事に関しては特に煩く言われることもなかった。勿論、アタシはかなり派手目なので、生活指導のセンセーには随分と注意を受けているが。
それでもやめないのは、やはりこの格好が好きだから。
「Aーっ！」
大きな声と共に、背中にバン！ と強い衝撃を与えられる。前のめりになり、転びそうになったところを慌てて腕を取られ、朝から地面とキスをすることは避けられた。
「も〜〜叩くのやめてっつってんじゃーん。おはよ木兎」
「おはよ！！」
アタシの隣に並び、眩しいくらいの笑顔を惜しげもなくさらす木兎光太郎。アタシと彼は、教師の間では「二大問題児」として有名だ。それが、なんの因果か同じクラスになり。アタシはこの男を、好きになった。
正直、彼を雲の上のような存在だと、そう思う。アタシは他人と自分を見比べて、コイツはアタシより下だとか、上だとか、そういう事は考えたことがない。たぶんすごく馬鹿だからかもしれない。
アタシが雲の上のようだと言っているのは、そういう意味合いには含まれない。
仲良くなってすぐ、練習試合を見に行った。ネコマとかっていうカッコイイ名前の高校だったと思う。俺のかっこいーとこ見てろよって嬉しそうに言うもんだから、アタシも笑顔で「カッコイイとこ見せてよ」と言ったのだ。
――腰をしっかり落として、それから一気に体全体を持ち上げるジャンプ。ぐっと背中を反らせて、その反動から打ち出すスパイク。まるで雲の上から獲物を見つけた鳥が、一気に急降下するような。そんな印象を覚えた。
好きになった。たまらなくカッコよくて、しかし思い知らされた。今のコイツに告白をしても、断られてしまうだけ。仲のいいアタシとの関係が崩れたら、しょぼくれやすい木兎は落ち込んでしまうかもしれない。それじゃ意味がない。だってアタシは、木兎がバレーを楽しそうにしている姿に惚れたのだから。
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志織(プロフ) - mokyunさん» コメントありがとうございます！松川くんのこのお話はいつか書きたいなーと思っていたのですが、せっかくなので短編集に載せました。お気に召して頂けたようで良かったです！他のキャラも色々書こうと思っていますので、ぜひ楽しんでいってください！ (2018年1月22日 21時) (
レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
mokyun(プロフ) - どのお話もステキですが、特に大人のまっつん。いいですね… 外堀から埋めていって、逃げられないね？どうする？っみたいな!? 他にどんな男子がでてくるのか楽しみです! (2018年1月22日 2時) (レス) id: e5a3b0aa31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2018年1月14日 2時
