主観 ページ18
「あとはそうだな、優しくされるのが苦しいって言ったよな」
「…はい」
「まあこればっかりは個人の主観によるところが大きいから何とも言えねーけど…俺としては、優しさってのは平等だと思うんだ。同情だろうが打算だろうがなんだろうが、それは自分に向けられたものっつーのは確かだからな」
随分難しいことを言われていると思った。大人、というのは、こうも難しいことばかり考えているのだろうか。……いや、難しい、というよりも。
「…ああ、そうか。お前はきっと同情心から来る優しさを、『優しさ』だと思ってないのかもしれねーな」
――お前にとっては望まない、押し付けられるものなのかもな。
「…たぶん、そう、です」
考え方が異なっているだけなんだろう。
岩泉さんは言った。主観によるところが大きいだろうと。
「うん」
「だって、私は岩泉さんみたく寛容になれない。同情はどこまでいっても同情で、それは優しさじゃない。そう思ってしまうんです」
きっと子供だから、を理由にはできない。それは性質というものであって、簡単には変えられないものだ。岩泉さんは私を賢いと言ったけれど、随分幼稚なように思う。太一さんの優しさすら疑ってしまうなんて。
「人によって考え方は違う。これから変わるかもしんねーし、変わらないかもしんねえ。俺のが幾分生きやすい考え方ではあるかもしれないがな」
もっとうまく、立ち回れていたなら。
父とも折り合いがついているだろうし、太一さんの優しさも素直に受け取ることができたんだろう。母のことを思い出しても、苦しさばかりに取り込まれることはなかっただろう。
でもこれは、私が「正しい」と感じたものだ。他人に押し付けることはない、けれど、自分が納得できると思った考え方なのだ。後悔ばかりじゃない。
「他人から言われてもなんも納得できないのは白布が一番わかってるよな。なんでだよって、直接言ってやれ。きっと答えてくれるから」
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エリウ - めちゃくちゃ感動しました、その作品を作ってくれてありがとうございます!! (2021年5月29日 20時) (
レス) id: 69d516a85e (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - すずさん» 父と娘、という題材で書かせて頂いたのは初挑戦だったので、泣けるというご感想を頂けて本当に嬉しく思います。この作品を見つけて、コメントまでして頂いて、本当にありがとうございました！ (2018年11月11日 9時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
すず - 最近見つけて読ませていただきました。めちゃくちゃ泣けました！ (2018年10月29日 17時) (レス) id: c7b6d2922b (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - りょうさん» 父娘ものって本当に難しい…！と思いながらキャラクター達の葛藤を執筆していたので、「素敵だ」と言って頂けて感謝しかございません。自分の書く文を好きと言ってもらえて、嬉しくない人はいないと思います。閲覧ありがとうございました！ (2018年1月8日 15時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - あるてぃめっつさん» コメントありがとうございます！これでいいのかなと頭を悩ませて執筆した作品ですので、「伝わった」というお声を頂けて安堵しております。感動して頂けたのならこれ以上ないくらい、書き手として最高なことです。こちらこそ、閲覧して頂きありがとうございました！ (2018年1月8日 15時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2017年11月3日 14時
