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「矢巾、」
「穂乃香まって〜」

「ねえ」
「大原くん漫画かして」

「…やは、」
「待てっつってんべや京谷!!」


週明け、月曜の朝から矢巾に避けられている。それは普段とは明確な違いで、まるで日常が私を拒絶しているかのようだった。そう思うまでに、矢巾秀は私の中に食い込んでいたのだ。


いつもは私の隣で笑っているのに、今日は見向きもせずに他のかわいい女の子と楽しそうに笑っている。その光景にずきりと胸が痛んで、首を傾げる。どうして胸がきゅってなるんだろう。


「ちょっと結子、あんた矢巾と喧嘩でもしたわけ?」
「ああ、奈緒。喧嘩っていうか、怒らせたっていうか…」
「…よくわかんないけど、あいつ結構たち悪いから気をつけてね」


……たち悪い? 矢巾が?
親友の発言に、ぱちぱちと瞬きを繰り返した。




もやもやと胸中を渦巻くなにかを抱えたまま、刻一刻と時間は過ぎていく。
もともと女の子が大好きなのは知っていたし、散々そういった話は聞かされてきたけれど、最後には「結婚を前提に付き合おう」と言ってくる。前後の脈絡がなくて不可解ではあったけど、そういうことを言った手前であんなふうに別の女の子にデレデレしている。言葉も何もかも薄っぺらい、軽薄だ。


きゃらきゃらと笑う女の子が矢巾の腕に絡みついたら、もう見てられなかった。


次の時間は体育だ。たくさん動いて、すっきりすればいい。
ふん、と鼻を鳴らして、その場をあとにした。


なんだかなぁ、と思いながら更衣室へ向かっていると、くらりと視界が揺れた。ちょっと貧血気味なのかもしれない。しかしまあこの程度なら大丈夫だろうと、そのまま歩を進めた。


「奈緒、今日は何やるんだっけ」
「今日はバスケ」


バスケか。あんまり得意じゃない。あの小さなリングにボールを投げ入れるのが、どうにも得意になれそうにはなかった。


「…がんばろ」


何に対してのつぶやきか、自分でもよくわからなかった。
 
 
 

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志織(プロフ) - あるてぃめっつさん» 矢巾くんの作品まで読んでいただけて嬉しいです…!思わずきゅんとできるような作品を作っていきたいと思っております。ご読了ありがとうございました! (2017年12月4日 22時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
あるてぃめっつ(プロフ) - すごく今更感がありますがこちらも読みました…!矢巾くんいけめんすぎてしんどいです…(笑)これからもあなた様の作品できゅんきゅんさせてもらいます。 (2017年12月4日 21時) (レス) id: 3614360162 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 蜜柑の皮。さん» 閲覧ありがとうございます!私も矢巾くんを推しているのですが、あまりに小説が少ないので今回書こうと決心致しました(笑)かっこよく書けているのなら幸いです。応援ありがとうございます! (2017年10月23日 23時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - ゆゆさん» コメントありがとうございます!作品に出会えてよかった、そんな風に言って頂けるなんて書き手冥利に尽きます…!閲覧ありがとうございました! (2017年10月23日 23時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑の皮。(プロフ) - 矢巾くんの小説って珍しいですね!私は密かに国見くんと赤葦などを推しつつ、矢巾くんも推してたのでめちゃくちゃ嬉しいです!これからも応援してます!矢巾くんのかっこよさがやばい… (2017年10月23日 22時) (レス) id: 37e5c1fab4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:志織 | 作成日時:2017年10月23日 8時

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