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1話「全く知らない人がうちのマネジを名乗ってる」 ページ1

「堀田さん、今日皆でファミレス行くけど」
「私は用事あるので」
「そう? わかった」


失礼します、と体育館を出ていく華奢な背中を見送ってため息をつく。ここは主将としてなんとしても部の仲間達との間を取り持ちたい所だが、如何せん当の俺が彼女と仲良くない。悪いわけでもないけど。堀田千冬。一年生、排球部に入部して一週間と少し。友達がいるのか心配なレベルで大人しい。地味め。仕事は早く、この先辞めることがなければとても頼りになるだろう存在。


仲良くなろうと声をかけ続けて一週間、未だ成果なし。


「また逃げられちゃった…」
「本人がああなら仕方ねえだろ。心配すんのもわかるけどよ、あの子自身が心開こうとしなきゃどうしようもねーべ」
「だよねえ」


岩ちゃんの言葉に、はーっとため息をつきながらメニューを睨む。あ、季節限定メニューが出てる…まあ兎にも角にも、この時の俺は知らなかったのだ。


うちのマネジは、とんでもないギャップを隠し持っているのだということを。




「やっば、捻挫しちゃったかな…」


烏野との練習試合を目前にして張り切りすぎてしまったらしい。歩けないほどじゃないので比較的軽いものだろう。月曜で部活がないからといって、調子乗って走り込みなんてするんじゃなかった。初めて敵として飛雄の前に立つからと昂ったのか、なんなのか。ぼーっと余所見をしながら走っていたら、案の定。岩ちゃんにどやされてしまうなと苦笑した。


ひょこひょこと脚を庇いながら歩いていると、後ろから俺を呼ぶ、耳に馴染んだ声が聞こえてくる。


「…及川さん?」
「へ、」


誰。
聞き慣れた声…にしては見慣れない女の子だった。俺の知り合いにこんなピアスをジャラジャラつけている子はいない。スタイリッシュな服装にゴツめのアクセ、その割には濃くない化粧。女の子…だよな?


あっという間に公園のベンチまで運ばれ、俺に待つよう言ってその子はどこかへ走り去った。程なくして水と氷を携えてやって来た彼女は、どうやらコンビニまで行っていたらしい。袋に氷と水をあけて口を縛ると、それを患部に当てた。


「すみません、捻挫の処置とかまだ勉強してないんですけど、冷した方がいいってネットに載ってたので…」
「う、うん、ありがとう…ごめん、凄く申し訳ないんだけど、名前を聞いても…?」


ぱちくりと瞬きをしたその子は、確かに言ったのだ。


「堀田千冬です」と。
 
 

2話「本物の後輩かちょっと不安」→



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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時

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