青城マネジ、ギャップやべえ【青葉城西】

8話「例えが下手くそ過ぎるので出直してこい」 ページ8

いつも一人でいた教室。本当に、大嫌いだけれど、最近はお昼の時間は結構好きだ。


「よー堀田」
「金田一くん、国見くん」
「また君付け」
「う、ごめん」


ぴしっと国見に額を弾かれた。これ地味に痛いんだよな…
国見とは金田一の仲介で仲良くなった。マイペースな国見といると、研磨が思い起こされて少しだけ安心する。国見とはまた違った意味で、金田一がいると安心するけど。なんたって、タトゥーを入れていることを知ってるのは金田一含め4人。研磨、鉄朗、あとは中学の友達。


そういえば、あれから花巻さんと及川さんがよく話しかけてくれるようになった。花巻さんに関しては腫れ物を扱うような態度であることは否めないけれど、とても優しい先輩だと思う。でも、まさか本当に信じているとは思わなかった。金田一がうまく(？)嘘をついてくれたのはありがたかったが、ちょっとデリカシーに欠ける嘘ではなかっただろうか……


「堀田さ、金田一から聞いたけどピアスめちゃくちゃあけてるらしいじゃん」
「ん？ うん」
「痛くねぇの？」
「えー、痛いっちゃ痛いけど…例えるなら足の小指でめっちゃかたい電気のスイッチを必死に押してるみたいな感じかな」
「なんだよその例え」
「お前変人って言われない？？」


え、なんで？？


︙

「千冬ちゃーん」
「…？ はい」
「おー、なんか千冬ちゃんて小動物感あるよな」


うんうん、と頷く松川さん。小動物感か…こう、いつもヘコヘコしてるからかもしれない。はあ、そうですか、とうだうだしていると、及川さんがこちらへやって来た。「そうやって千冬ちゃんナメてかかってると殺られちゃうよ」と悪い顔で笑った。


「はー？ 舐めてんじゃなくて可愛がってんの後輩を」
「はいはいナメてるナメてる。これを見てもそう言えるわけー？」


さらりと髪の毛を耳に引っ掛けられる。露わになった耳に「！？！？！？」と盛大に驚かれた。


「ななな、なん、！？」
「ちなみに最多30個だってよ」
「まじで！？ まじで言ってんの千冬ちゃん！！」
「は、はい…」


こういう反応をされると、私って本当に地味メガネだと思われているんだなと少しだけへこむ。まあ、いいんだけど。


「こりゃあ千冬ちゃん、野生のギャングにランクアップ…ダウン？ どっちだと思う及川」
「いやまっつんの例えわかんねーし、正直どっちでもいいわ」


こればっかりは及川さんに賛成だ。
　
　
　

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