33話「オヤスミ電話」 ページ33
午後もみっちりと音駒と練習試合をやって、彼らが合宿所に帰る頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
「夜電話かけるわ。オヤスミ電話しようぜ」
「カレカノか。まあ出るけど」
「でるんかーい」
花巻さんから軽くツッコミを受け、それを見た鉄朗がケラケラと笑う。
「いやあ〜、にしてもよ? お前がちゃあんと先輩らとも仲良くできてたんなら良かったわ、お兄さんは安心です」
「堀田さんは俺らできちんと育てるので、安心してくださいお兄サン」
「もう、鉄朗も花巻さんも保護者づらして」
同年代なのに、と呆れると二人は私の頭をぐしゃぐしゃと撫ぜた。
これ以上髪をボサボサにされるのも癪なので、今度は研磨のいる方へと避難する。いつもより多い人だかりの中で、少し離れたところにプリン頭が見えた。こういう時、研磨の目立つ頭は頼りになるのだ。
「研磨〜ってなにその距離感」
研磨の側へ駆け寄ると、2メートルほど離れた場所に国見が立っていた。金田一は犬岡と話しており、また鉄朗も花巻さんや及川さんと話しているので、「お見送りとかめんどい」組が必然と集まったのだろうことは想像に難くなかった。
「別に、向こうが煩いからコッチにいるだけ」
「静かな方来ただけ」
同じようなセリフを吐いて、同じようにスマホに視線を向けている。似た者同士、案外すぐに仲良くなれるのではないかと思うけれど、本人達にはその気がないようなので仕方ない。特別仲が良くなってほしいとか、そういう願望はないので別に良いのだけど。
「研磨もオヤスミ電話しようね」
「どうせクロがするって言ったんでしょ。仕方ないから、付き合ってあげる」
ふっ、と柔らかな笑みをたたえた研磨に、目を瞠る。私がここで成長したように、研磨も成長しているのだろう。去年はもういない先輩らと衝突することもあって中々こういう笑顔を見ることができなかったから、純粋に嬉しかった。
「……ん。待ってるからね」
そう口にすれば、研磨は無言で私の頭を優しく撫ぜた。
︙
音駒の面々を見送った後、体育館に戻る直前のことだった。
国見が私の隣へやってきて、こそりと耳打ちをする。
「オヤスミ電話、俺もする」
「え? 普通に話せばよくない?」
「いやダメ。今日も絶対枕投げやるから、お前は風呂上がったら部屋から出んな。それで枕投げ始まったら電話かけて「ちょっと失礼します」っつってお前のとこ行くわ、金田一連れて」
「避難所にしないでよ……」
34話「俺らサンコイチ!」→←32話「僕らのランボルギーニ」
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志織(プロフ) - ヒトさん» ホリミヤいいですよね!ハイキューを全面に押し出しつつ、ホリミヤ成分もそこはかとなく入れ込みたいと思います(笑)コメントありがとうございました! (2019年12月4日 21時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
ヒト - ホリミヤネタ最高です。 (2019年12月2日 21時) (レス) id: 3761af80f9 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 八重さん» コメントありがとうございます!ヒロインなら私も金田一かなと思いますが、国見は何となく自己主張強そうなのでああいう感じです(笑)私はギャグセンスがないのでは?と思っていたので、面白かったと言っていただけて何よりです! (2019年8月7日 16時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - 面白すぎてずっと笑ってたら姉に(・∀・)<ウルセェェェェエエって言われましたどうしてくれるんですか?(謎) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
八重(プロフ) - いやぁー私思うんすけど、やっぱりヒロインは国見じゃなくて金田一だと思うんですよぉー(笑) (2019年7月27日 13時) (レス) id: 9f24637045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2018年4月7日 10時