青城マネジ、ギャップやべえ【青葉城西】

18話「宣戦布告」 ページ18

夜、お風呂上がりに携帯をのぞくと研磨から不在着信が入っていた。
かけ直すとなぜか電話に出たのは鉄朗で、『よお』と低い声が聞こえてきた時は思わず「研磨声変わりした？」と聞き返してしまった(『バカ？』と言われた)。


「なに、どうしたの？」
『ん？ んー、まあ』
『勿体ぶらないではやく言えば？』


研磨の携帯だから当然だが、今二人は一緒にいるようだ。少しだけ羨ましいな、と思いながらベッドに転がる。


『ま、なんつーの？ 宣戦布告っていうか』
「ええ？ もしかして春休みに鉄朗の秋刀魚を勝手に食べたことまだ怒ってるの？ 子供だなあ」
『いやそういう事じゃ……え？ あれお前だったの？ ふざけんなよ、親父だと思ってめっちゃ怒っちまったじゃねーか』
『あのさ、そんなことよりさっさと要件伝えようよ』


軌道修正とばかりに研磨がため息をついた。どうやら勘違いだったみたいなので話が逸れたのは私としてはありがたいが、鉄朗は不服らしく『解せん』と呟いていた。


『お前んとこのチーム、強いんだよな？ ナンバーワンセッターっつったか』
「うん」
『粘りの音駒なんでね、ぜってえ負けねーし。覚悟しとけ、コテンパンにしてやるからな』
「……うん？」
『ゴールデンウィーク、青城と練習試合決定しました〜』


ウェーイ、と気の抜けた声に思わず「嘘でしょ？」と聞き返す。しかしまあ、返ってくる答えなどわかりきったもので、唇の端がつり上がっていくのが自分でもわかった。まさか、こんなことになるなんて。


『俺ら以外を応援してること、後悔するくらいにカッコよく決めてやるから』
「楽しみにしてる」
『なんなの二人とも、なんでそんな熱いの。俺ついていけない』


研磨の呆れたような声音に思わず笑ってしまった。なぜなら、私は研磨が本当は結構バレーに熱いんだってことを、知っているからだ。
　
　
　

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