戦える５８【二口】 ページ9
「…ん？ 『最低ランクについて』…なんだコレ」
ひとつ学年が上がって、出されるレポートも多くなって。それまでテキトーに済ませていたものを、仕方なく図書室に通いながらにらめっこすること約1ヶ月。見つけた本は、隅っこで密やかに眠っていた。
最低ランク…詰まるところ『E』の連中のことだろう。彼らについての文献なんて、見たこともない。
興味に駆られてそれを開き、パラパラと捲る。どうしてこうも差別化を図るのか。俺は、今まででそのことに特に疑問を持たなかった。弱いものが虐げられる世界では、自然なことであると思ったのだ。それがどれだけ残酷なことであろうとも、受け入れるしかないのだと。
渡貫あずさの出現により、そのことに疑問を持ったのは、俺だけではないのだと思う。人間の数だけ得手不得手がある。向いている戦い方も違う。そんな簡単なことを、忘れていたのだ。
その本は割と最近のものであったらしい。発行日は随分最近――と言っても、数年前だけど。ただ、なぜ最低ランクについてという題名なのかがわからなかった。ここに記されているのは、全てこの超能力界での大きな事件の話だから。
(…もしかして、この事件全部E連中が起こした、とか？ そんなまさか――)
まさか。ピタリとページを捲る手を止める。いや、そんな筈はない。アイツらにはそんな強さはない。武器を使うならまだしも、こんな爆発的な超能力を扱えるはずはないのだ。
止めたページに目を落とす。そして衝撃が走った。
【渡貫みゆき】
俺らの一世代前が起こした、大きな事件。
恐らく、音駒サークルの直井先生や烏野サークルの烏養先生辺りが、まだ学生だった頃に起きた事件。
その、首謀者。
名前こそ語られなかったその人は、あずさと同じ苗字の持ち主だった。
もっと詳しく見よう、とした時に、本が手から抜き取られる。
「――こんな所にあったんだ。探していたの」
「清水さん…あの、それ――」
「言わないで。あなたは、何も知らなくていいの」
清水さんの鋭い眼差しに、ぐっと喉にすべてを押し込んだ。
京治、お前は何か、知ってんのか。
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油揚げ(プロフ) - 設定とかすごく面白くて，ついつい一気に読んでしまいましたwこんな素敵な作品に出会えて良かったです！ (2021年11月9日 5時) (
レス) @page21 id: 19252ecbde (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - レイさん» 返事が遅くなり申し訳ありません！なんと3DSの時から！とても嬉しいです……！気が向いたときにでも読んでくださると嬉しいです(*^▽^*)コメントありがとうございます！ (2020年4月2日 11時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 更新ありがとうございます！自分がスマホ持ってなくて3DSの時から読んでいてお気に入りだったので嬉しいです！無理をしない程度更新頑張ってください！ (2020年3月26日 22時) (レス) id: 860c0e78fc (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - あぐりさん» コメントありがとうございます！そしてお待たせいたしました！変わっていく兄妹と、その周りについても書いていきたい所存でございます！お楽しみ頂けて幸いです……！ありがとうございます！ (2020年3月10日 20時) (レス) id: de7effe731 (このIDを非表示/違反報告)
あぐり(プロフ) - 更新ありがとうございます！ ずっと待っていたので更新されて嬉しいです！ここからの夢主と及川さんの兄妹としてどんな風に関わっていくのか楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年3月10日 15時) (レス) id: e34e873475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：志織
| 作成日時：2017年1月22日 16時
