クズ女子：７ ページ8
「なんて聞かれたんだよ。つかなんでお前に聞いたんだよ」
「前に食堂で話してたとこを見てたんだと。正直覚えてねえけど」
「私も覚えてねえよ」
「だよなあ。んで、『東雲さんってさ、普段どんな感じなの？』って聞かれた。はぐらかしておいたけど」
…は？
「え…それ、全く同じ質問、国見にしたわ」
「え」
「『及川先輩って普段どうなの』って」
「直球だな…つーかお前、やっぱり及川さんに目ェつけられたんじゃねーの。あの人の性格は…あー…いい、わけではないからな…」
「知ってるよ。だってお互い本性見せ合ったし」
「…ガチ？」
「うん。清々しいまでのクズバレだった」
ホント怖え、と秀は言う。
うるせえな、及川先輩に比べりゃ私なんて可愛いモンだっつの。
理科室を出て、いつも通り猫をかぶる。
敬語を使って、「矢巾先輩！」といい後輩ぶる。言うたび秀の口角がひくり、とあがった。
笑いたいなら笑えよ変人確定だけどな。
「秀先輩ー！」
後ろから可愛らしい声が聞こえた。振り向くと、何やらプリントを持って走ってくる北城がいた。
ありゃたぶんコケるな。
予想通り、止まる直前で滑った。
「うわっ、」
「あ"っ、」
「っと」
何となく予想していたのでキャッチした。
秀も受け止めようとしていたが、私が受け止めたので上がりかけた両腕が行き場を失う。
口の動きで『ざ・ま・あ』と言ってやった。
わかりやすく口を尖らせる彼にニヤリと笑う。
「あ、の」
「あ、ごめんね。大丈夫かな？」
ふわふわした栗色の髪の毛を揺らして北城は体勢を戻す。
控えめな笑顔で「ごめんね、ありがとう」と言った。
そして彼女はなぜか私の手を取った。
「？ えーっと」
「いきなり転んじゃってごめんね？ 私、不注意でよく転んで鼻血だすから…これ、お礼として受け取って」
私の掌に乗せられたのは、レモン味の飴だった。
私レモン味好きなんだよな。
「わざわざありがとう、いただくよ」
「ううん、よかった！」
そう言って北城はふわりと笑った。
潔白で、なんとも可憐だ。
「あ、そうだ！ 秀先輩、今日は体育館に点検が入るそうで、部活を切り上げる時間が早まるみたいです。詳しくはこのプリントに書いてあります」
「おお、ありがとなちのちゃん！」
「いえ、仕事ですから！ それじゃあ私も戻りますね！」
私達に一礼して北城は教室に戻ってく。
「…私さ、相瀬より北城のが好きだわ」
貰った飴を舐めながら、そう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 535人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノコキノ - とても面白く、ワクワクしてました！続きを書いて欲しいです！無理にとは言いませんが！ (2021年10月22日 19時) (
レス) @page37 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - おしるこぉさん» 及川さんの幼少期は凄く可愛いんじゃないかと思います（笑）コメントありがとうございました！ (2018年12月7日 7時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - oh……ショタっていいよね(ｲｹﾎﾞｫ) (2018年12月6日 16時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - ゆうさん» ちょっと感動ものに寄せました。今とてもかっこいいので、小さい頃の及川さんは可愛いでしょうね（笑）コメントありがとうございます！ (2018年4月8日 13時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何故か、感動モノに見えた。ちっちゃい頃の及川さんって可愛いですよねww (2018年4月6日 14時) (レス) id: ab32ce7f46 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：志織
| 作成日時：2016年12月31日 21時
