クズ女子:29 ページ33
昼休み、私は北城とご飯を食べていた。
そろそろ告白しようと思う、そう言いながら北城は卵焼きを頬張った。
「一緒に頑張ってくれてありがとう」
「私は切っ掛け作っただけで、別に何もしてないんだけど」
「でも、一歩前に進めたのは律ちゃんがいてくれたからだよ。それにしてもさ、随分変わったね」
微笑む北城に首を傾げた。どこが変わったというのだろうか。
なにも成長できていないような気がして、イライラするのは最近よくあること。それから、今がちょうど大人に変わる時期だと理解できたのも最近。それぐらいだ。
「人のこと、笑わなくなったんじゃない?」
「え、」
「前まで、人を笑うことで自分を鎮めてるようにみえたから」
なぜそれを彼女が知っているのだろう。他人を嘲笑うことで自分の中で燻っていた感情をおさめていたのは、今となってようやくわかったこと。
よく、人のことを見ているのだと思った。
「笑われてたってわかってたくせになんで普通の顔してたわけ?」
「どうでもいい事だと思ったからだよ。だって私は今が幸せだから、誰に何を言われようとどうでもいい」
相手にしないだけ。距離をとるだけ。まあ、大切な友達の光里ちゃんには、そんな事はできないんだけど。そう言った彼女の横顔は、同い年とは思えないくらい大人びていた。
「じゃあなんで私からもっと距離をとらないの」
「本当は悪い子じゃないって思ったから。だって律ちゃん、変なところで真っ直ぐだったから。それがいいことにせよ悪いことにせよ、ね」
――ねえ、律ちゃん最初に言ったよね。
北城の言葉に、私は頭が混乱して、口を開くことができなかった。
「“クズ女子”と“ヒロイン”、って。クズ女子はたぶん自分のことを言ったんだよね? それで、私がヒロイン。でもそれは違う。自分はこうだ、他人はこうだと役割を押し付けているに過ぎないよ。誰にだってクズなところもある、優しいところもある。本当に、それだけ。だから、私はヒロインでも何でもないの。律ちゃんは確かに曲がっているところもあるかもしれない。でも、クズだけじゃないんだよ」
私が転びそうになったとき、支えてくれたもん。
そう言って彼女は私の手を取った。
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ノコキノ - とても面白く、ワクワクしてました!続きを書いて欲しいです!無理にとは言いませんが! (2021年10月22日 19時) (レス) @page37 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - おしるこぉさん» 及川さんの幼少期は凄く可愛いんじゃないかと思います(笑)コメントありがとうございました! (2018年12月7日 7時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - oh……ショタっていいよね(イケボォ) (2018年12月6日 16時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - ゆうさん» ちょっと感動ものに寄せました。今とてもかっこいいので、小さい頃の及川さんは可愛いでしょうね(笑)コメントありがとうございます! (2018年4月8日 13時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何故か、感動モノに見えた。ちっちゃい頃の及川さんって可愛いですよねww (2018年4月6日 14時) (レス) id: ab32ce7f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2016年12月31日 21時