クズ女子:24 ページ28
「青城、だっけ? ソッチでもうまくやってるー?」
「まあね。そういう美奈子は? 商業だっけ」
表面上にこやかに接してはいるが、恐らくお互い内心は穏やかじゃない。私もあの頃あのクラスにいた皆も、いつ誰が誰を裏切って、いつ自分が標的にされるか。気が気ではなかったから。
コイツが反撃を受けていた可能性だって、ないわけじゃない。
だからこんなにもピリピリしている。
嫌な話だ。さっさとどっかいけよ、とお互いが思っている。
それなのに退かないのは、まあ性格悪い女の矜持ってやつだろうか。くだらない。
「律ちゃん、その人お友達?」
そこへ突如割って入ったのは、北城だった。
「中学時代の同級生だよ。じゃあね美奈子、私達もう行くから」
「あっそう? んじゃねー」
北城が来たことにより、お互いが離れていく。アイツはどうやら友達と来ていたようだ。
ホッと柄にもなく胸をなでおろす。
北城が、ポツリと呟いた。
「――ああいうのはね、先に引いた方が大人だよ」
その物言いに「お前はガキだ」と言われているような気がしてムッとしたが、事実なので黙った。それに、この子にはそういう意図があって言ったわけではないだろうし。
「私と光里ちゃん、仲良しだったんだよ、今はこんなだけどさ」
「ふうん」
「最初に光里ちゃんに悪いことしちゃったの、私なんだよね」
ちょっと悲しそうにそう言ってから、少しだけ笑った。やっぱり、彼女は物語のヒロインのようだ。
好きな人がいて、ライバルがいて。密度の濃い人生だと思う。
それは恐らく、私がスカスカだからなんだろう。
松川先輩の彼女に呼ばれた北城は、笑顔でそちらへと駆け寄っていった。
「東雲さん、疲れた?」
「松川先輩。まあ、少し」
「そっか。…及川とは、どうなの?」
「はい? どう、と言われましても…」
なんなんだ、と心の中でそう言って、しかし表面上では困った顔をする。咄嗟に無難な表情を作ってしまう私は、相当性格が悪くて、臆病なのだ。
「及川が目をかけてる後輩ってのは、やっぱり気になるからね。特に俺ら三年はさ」
「目をかける、ですか?」
「うん。あー、目をかける、のもあるけど…ま、そこは君らの問題だからね」
松川先輩は一人で納得したように頷いた。
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星が赤くなっていました。ありがとうございます…!
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ノコキノ - とても面白く、ワクワクしてました!続きを書いて欲しいです!無理にとは言いませんが! (2021年10月22日 19時) (レス) @page37 id: d2ad17c9e0 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - おしるこぉさん» 及川さんの幼少期は凄く可愛いんじゃないかと思います(笑)コメントありがとうございました! (2018年12月7日 7時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
おしるこぉ - oh……ショタっていいよね(イケボォ) (2018年12月6日 16時) (レス) id: 4bcefc2029 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - ゆうさん» ちょっと感動ものに寄せました。今とてもかっこいいので、小さい頃の及川さんは可愛いでしょうね(笑)コメントありがとうございます! (2018年4月8日 13時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 何故か、感動モノに見えた。ちっちゃい頃の及川さんって可愛いですよねww (2018年4月6日 14時) (レス) id: ab32ce7f46 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志織 | 作成日時:2016年12月31日 21時