猫 か ぶ り も 程 々 に 。【青葉城西】

オカン男子：１ ページ13

「ねえ聞いてよ岩ちゃーん」


いつにも増して上機嫌な及川は、鼻歌を歌いながら昼メシを口に運ぶ。「口にもの入れながら喋んじゃねえ」と注意をしたら、「岩ちゃんて俺のお母ちゃんだっけなあ」なんて勘弁してほしいことを言うもんだから殴っておいた。こんなクソ性格悪ィガキは俺は嫌だ。


「ふっふー、近い内に部活の雰囲気変わるよー」
「…テメエなんかしやがったな？ また誰かに迷惑かけてんじゃねえだろうな」


毎回そうだ。確信に近いそれを敢えて疑問のようにぶつける。真意としては、俺はコイツが性格悪いのを理解しているし、本人もそれをわかっていてなおそうとしていないので俺もあまり口を出さないようにしている、というだけ。そして本人も自分の関わる厄介事(部活に支障は出ない程度の)は俺達になんも言わねえから、深入りもしない。
話してきたら聞いた側としてそれなりに口は出すが。


「んー？ 迷惑っちゃ迷惑だけど、たぶんその子にとってはいい機会になると思うよ。いやあ、楽しみだねえ。どう来るかねえ。俺もガンガン攻めてかなきゃ！」
「女か」
「まーねー！ 俺の獲物なので残念ながら岩ちゃんに教えてあげることはできませんが！」
「いらねえ」


つーか、女子のことを獲物扱いすんなよな。そう言うと「だって猛獣みたいに態度悪いから噛み付いてきそうで怖いんだもーん」男がもんとか言っても1ミリも可愛くねえ。


それにしても、コイツに態度悪いと言わしめるなんて、相当生意気なヤツなんだろうな。波乱だ。そして心配だ。まあ、コイツの事だから部活に響くようなことはしないだろうけどな。


自由奔放、腹黒くて、信頼できる幼馴染は今日も咲(わら)う。信頼できる、なんて言ったら絶対にチョーシ乗るから、言ってやんねえけど。
　
　
　

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