9.The Disquieting Result with "Rugged Scrapper" ページ10
『不穏な結果といかつい喧嘩好き』
タップ刑事が処刑され,戻ってきてからさほど経たぬうちにデイビッド・キングが帰ってきた。
彼はひどく不機嫌で,その怒りを他の生存者にぶつけることはなかったが終始口調が荒かった。
「あとの2人が帰ってくるのも時間の問題だ。俺が死ぬ時クローデットが吊られた,あいつは3度目だった」
そう話しているそばからクローデットが暗い顔をしながら帰ってきた。
キングの言った通り,すぐにエンティティに召されたのだろう。
残されたのは2度フックに吊られたクエンティンのみ。
「俺たちがいくら発電機を回そうとしても,逃れるために物陰に隠れても,必死に走り回っても駄目だった。すぐにバレるし,すぐに追いついちまう」
いつも以上にバケモンそのものだ、とキングは舌打ちをする。
隣のクローデットも首を振り肯定する。
「なんだか,何かを怒っているようだったわ……あんな殺気,初めて感じたもの」
「ちくしょう、何が変わったってんだ!」
ざりっ、と地面を蹴り上げる。
それがAにかかり,キングは悪い、と慌てて謝った。
大丈夫だ、と微笑んで首を横に振るも,砂を掛けてきた彼に責められているような気分になる。
殺人鬼たちは本当に自分を好いていたのだろうか,焦燥と憤怒に駆られる程。
「でも何か変わったのなら,ここから出る手がかりでも見つかるかもね」
みんなが強気にそう言うミンを振り返る。
淡々と繰り返す邪な世界に訪れた変化,それは確かに世界からの解放される希望を齎していた。
今までありえなかったただの人間である自分との触れ合いで彼らが変わったのなら。
彼らが変わったことによってこの世界も変わるのなら。
「そ、そうですよきっと!みんなが死んでしまうのは嫌だし,駄目ですけど…でもなにか掴めるはずです!」
Aは思わずそう口にした。
儀式に参加したことないAが言うのもどうかと思われたが,焚火の前の犠牲者はその言葉に強く頷いた。
「良いこと言うじゃねぇかフェンに新入り!俺らでやってろうぜ」
勝気な彼の笑顔に釣られ僅かながらに和やかな雰囲気になった。
未だ帰らないクエンティンのことを思っていると,いつの間にか隣にいたミンに話しかけられた。
「ホント、いいこと言うわね。一緒に頑張りましょ」
彼女に認められた気がしてAは微笑んで頷いた。
嬉しかったのだ,これが間違っているとしても。
『変化と希望の正否と成否』
10.The Shape with "Resolute Dreamwalker"→←8.The Violent Urge to Kill with "Obsessed Detective"
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つぅさん(プロフ) - わかなさん» コメントありがとうございます!持ち上げられてもなにも出ないですよ…これからも頑張ります:) (2018年12月19日 10時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
わかな(プロフ) - 面白すぎです!つぅさん本当に文才あって、のめり込んで読んでしまいます! (2018年12月14日 15時) (レス) id: 0e1628288f (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます!殺人鬼と夢主の日常は日替わりの方では書いてありますが,このような短編の形でも書けるよう考えておきます:)ご意見ありがとうございました:) (2018年10月4日 15時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 初めて拝見させて頂きました!DBDが大好きな私にはご褒美です…!とても面白かったです!夢主ちゃんと殺人鬼さんたちの日常が気になる… (2018年10月3日 21時) (レス) id: a228f8b665 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - 凛眞さん» いえいえ,ご指摘ありがとうございました。非公式wikiではアンナですから正直なところ難しいですよね…ここではアナになりますが,どうぞよろしくお願い致します。 (2018年4月21日 21時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つぅさん | 作成日時:2018年4月1日 5時