償い/The Wraith ※Not Love Story ページ14
Aは何度目かのオートヘイブンレッカーズへ招かれていた。
殺人鬼は運命か否か，ここにゆかりのあるレイスだった。
相手がレイスだとわかるとAは"いつものごとく"率先して彼の前に飛び出した。
潰れた車とこころなしか
化け物相手に逃げ切れる筈がなく，Aはレイスの一振りを背中に受ける。
無慈悲に血を拭う彼を振り返りながら，死を恐れる仲間の為にそれでも走り続ける。
発電機が全て直るまで，ゲートが開くまでAは止まれなかった。
ここガス・ヘブンは毎回違う窓が開いており，それを把握することは殺人鬼の気を引く役として必要なことだった。
「っ…」
いつも確認せずともうまい具合に逃げ切れていたAは，今回初めて袋小路に自ら入り込んでしまった。
後ろにはレイス，もう逃げられない。
ハッとレイスに向き直り後ずさりする，だがすぐ背中に壁の感触が伝った。
「いつも君には散々遊ばれているよね，こうやってうまく立ち回られて1回も吊れない」
レイスは今儀式でクローデットを2回，ネアを1回吊ったものの誰もエンティティへ捧げられてない。
成績が悪ければ邪神から罰を受けるということはすでに知っている。
どれだけAがレイスのことを知ろうとしたか，眼前の男は知らない。
そう，レイスは知らないのだ。
Aが何を思っているか，Aが"誰"なのか。
「でも今日は君，調子悪いみたいだね」
薄汚れたマスクの中で嘲笑する。
その時発電機が全て修理したと知らせるブザーが鳴る。
Aの役目はあと少し。
「発電機が直るまで逃げて，ゲートをみんなに開けさせて，みんなが脱出したら君は僕に殺される」
いつもそうだ、と淡々とした声が降ってくる。
「殺される恐怖も覚えない君は，いったい何を考えてるの？どうしてこんなことするの？」
Aは服のすそをキュッと握り，死の怯えとは違ったなにかが潜んだ瞳でレイスを見つめた。
他の生存者とは違う確かな決意。
「私のこと知る必要はないわ，早く吊って」
ぱり、と3回音が鳴る，3人とも脱出したという知らせだ。
頑なに口を開かないAに溜息をつき，レイスはAを斬りつけた。
「じゃ，さよなら」
亡霊と屍の頭上でごうごうと空気が蠢いた。
『あなたには怒る権利がある』
純粋/The Shape→←Obsession/The Shape
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つぅさん(プロフ) - 柏木信子さん» 柏木さん、コメントありがとうございます！ドクターですね、いいものが浮かびましたので近いうちに上げておきます：） (2019年6月22日 23時) (
レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
柏木信子(プロフ) - いきなりですみません！ドクターが一番好きなのでドクターお願いできますか？ (2019年6月22日 16時) (レス) id: 76444309d4 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - nadesiko-nadekoさん» nadesikoさんコメントありがとうございます！どストライクだったようでとても嬉しいです。たまには両想い的悲哀もいいですよね…X3これからもよろしくお願いします。 (2018年12月24日 17時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - わかなさん» わかなさんありがとうございます！我ながら「これだァ！」となった一話になっております＾＾感動していただけて幸いです：） (2018年12月24日 17時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
nadesiko-nadeko(プロフ) - 新作がドストライク……せやな……主人公ちゃんの仲間からしたらこうなるか…素敵です、何度も読み直してしまいました…！！ (2018年12月22日 8時) (レス) id: fac8b3c77a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぅさん | 作成日時：2018年5月17日 1時
