おにさんこちら/The Wraith ページ11
2m以上あるだろう大きな体。
角ともいえる頭部の棘。
逃げ回る餌を気圧す圧倒的な強さ。
かつての上司を武器に人を殺す邪神の駒。
"それ"は使命を果たし続ける度に血を浴び，今ではもう黒い面影などない程真っ赤に染まってしまった。
"それ"に追いかけられ，肉を裂かれ，邪神や"それ"そのものに殺された者は例外なく恐れ戦く。
姿を見れば震え，恐怖し，引き攣った表情を讃え走り続ける。
やがて受けるだろう痛みに怯えながら。
たとえ，"それ"が怖がりだとしても。
"それ"に理性が，感情があったとしても。
邪神に従わざるを得ない環境だから殺すだけなのであって，本当は殺戮を望んでいなくとも。
"それ"が"
生存者は"それ"が何だろうと恐怖し死を恐れて逃げる。
「待って……」
両者の間に殺戮以外の繋がりはなく，本音を打ち明ける隙もない。
ただ"それ"は自分も被害者なのだ、と主張し彼らと仲良くなりたかったのだ。
自分は喜んで駒になり下がったアレらとは違う、自分は、本当は。
口を開いても，出てくるのはケダモノの声。
手を伸ばせば，聞こえるのは悲鳴。
慈悲を掛ければ，返ってくるのは
いっそ，死んでしまえたら＿＿＿＿
全て修理し終えた発電機。
既に解放されている2つのゲート。
誰かが持ち込んだカギによって開かれたハッチ。
惨敗だ、とレイスは固く目を閉じた。
また与えられる痛みに怯え，逃げゆく彼らを恨みながら脱出直前で楽しげに振り返る生存者を見やった。
ここ最近は煽られてばかりだ。
頼むから早く出て行け、と歩み寄ればあっさりと脱出していった，1人を除いて。
優しすぎる彼女，Aはエンティティと殺人鬼の関係に薄々気づいているのか，時々自ら殺されに来る。
それを素直に受け取りフックに掛ける鬼と，情けは不要だと担いでゲートまで運ぶ鬼がいる。
レイスは最初こそフックに掛けていたが，今ではそんなことできない。
Aはあと一歩踏み出せば生還、というところでじっとレイスを見つめていた。
悲しげな瞳がレイスを射抜く。
何か言いたげに脱出を躊躇っていたが，やがてそっと儀式場の外に歩み出て行った。
霧のごとく消えて行くAに思わず手を伸ばした。
届くことがないと知っていながらも。
『心では泣いてるの』
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つぅさん(プロフ) - 柏木信子さん» 柏木さん、コメントありがとうございます！ドクターですね、いいものが浮かびましたので近いうちに上げておきます：） (2019年6月22日 23時) (
レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
柏木信子(プロフ) - いきなりですみません！ドクターが一番好きなのでドクターお願いできますか？ (2019年6月22日 16時) (レス) id: 76444309d4 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - nadesiko-nadekoさん» nadesikoさんコメントありがとうございます！どストライクだったようでとても嬉しいです。たまには両想い的悲哀もいいですよね…X3これからもよろしくお願いします。 (2018年12月24日 17時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
つぅさん(プロフ) - わかなさん» わかなさんありがとうございます！我ながら「これだァ！」となった一話になっております＾＾感動していただけて幸いです：） (2018年12月24日 17時) (レス) id: 24afe1b8e2 (このIDを非表示/違反報告)
nadesiko-nadeko(プロフ) - 新作がドストライク……せやな……主人公ちゃんの仲間からしたらこうなるか…素敵です、何度も読み直してしまいました…！！ (2018年12月22日 8時) (レス) id: fac8b3c77a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つぅさん | 作成日時：2018年5月17日 1時
