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カッと目を見開き、戦闘態勢に入ったパトリを、Aは沈めるように宥める。

パトリを殺すという事は中に入っているウィリアム諸共殺すという事。そうなってしまっては

Aが殺ったと濡れ衣を着せられ、更にはウィリアム殺害の罪で処刑されてしまう。


『正義の為に人が死ぬのが嫌いな君が、正義を振り翳して人間ではない私を殺す。素晴らしい矛盾だ』

「…正義?正義だと?!人間達に正義もクソもあったものか…!!」

『誰にだって正義はあるさ。幼少期から悩んで膨らみ、心に抱える、正しいと思った道筋それが正義だ。それを持って証明したいと思うことの何が悪い?』

「僕は人間が嫌い…彼奴らは弱い!!力でしか証明できないのがこの歪んだ世界だ!!」

『…違うね。君がしているのは正義でもなんでもない。むしゃくしゃしたやり返しに過ぎない。一方的に殺られた暴力を、また一方的に返してみれば、それは君の大嫌いな人間と同じ事をやっている。

要求は受けてあげよう。私も私なりの計画があるからね』


先程の椅子に座ったまま、Aは微笑みながら優しい声をだした。しかしパトリからすれば彼女の

存在自体が恐怖でしかないので、要求を呑まれても安心ができない。この先の保証も見当たらない。

が、負ける可能性もあるのでここはさっさとウィリアムに戻って貰おうかと、光魔法を解いた。


「…計画…お前は何の計画を」

『さぁ…なんだろう。けれど立ち位置が変われば、私の計画は弱々しいものなのかも。…ふふ、いやまあ良い。君も、復習するなら慎重にね』

「…言われるまでもない……」

『そうかい』


仮面を被らないまま。パトリはその魂を奥底に沈めた。

湖に沈むように、嵐の前の静けさのような薄着み悪い沈み方だった。相も変わらずAはにこにこと

笑いながら、脚を組んで座っている。

そして、白髪が消えていき、現れたのは今にも泣きそうなウィリアム・ヴァンジャンスだった。顔を見せた

のは、(団員では)初めてだったのかもしれない。


『別に差別なんてしませんよ、なのでそんなに泣きそうな顔をしないで下さい』

「…泣きそうかな。私は」

『ウィリアム団長。貴方は魔法帝か友人か揺れている。そして私が貴方の人生に口出しする権利は、きっと無い。けれど聞いて下さい。……一刻も早く選ばなければ、一生後悔します。』

「…分かっているよ、でも……私には選べない」





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グリム(プロフ) - 凄く面白いです!続きが凄く気になるので、更新をいつも楽しみにしています! (2022年11月26日 15時) (レス) id: 66f712e8a8 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ - ヤミさんオチが良いです!!!!!!!! (2022年7月8日 22時) (レス) @page21 id: 3413745361 (このIDを非表示/違反報告)
天宮広海(プロフ) - 面白いです!続きが気になります!更新頑張ってください! (2022年3月7日 19時) (レス) id: 85bad9f447 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるく | 作成日時:2022年3月3日 3時

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