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ピピピ。ピピピ。ピピピ。

規律な機械音が。部屋全体に響き回った。それと同時に聞こえるのは、鳥の囀りと木々な擦れる音。

森の中の匂いのようで、開放感のある空間だった。


『(私は眠れない…ウィリアム団長には悪いけれど、一通り部屋中を散策させて貰った。そろそろ起きるかな
…朝ご飯断っておいたけれど…まぁ、大丈夫だろう)』


意外と寝起きは悪いらしく、ウィリアムは少し掠れた声で「ん、朝か」と声を出していた。

しかしすぐに起き上がる事はなく、アラームが何処にあるか探している。それが少し可愛くなりAは

ウィリアムの近くに近づき、アラームを止める。


『此処ですよ、ウィリアムさん』

「……A…おはよう。よく眠れたかい?」

『えぇ、もう6時半ですよ。朝ご飯作ってますから一緒に食べましょう』

「なんだか…新婚の様だね…ありがとうA」

『ふふ、私の旦那さんは寝起きが悪いようです』

「…はは、これは良いね。君が起こしてくれるなんて…良い一日になりそうだ」


寝ぼけたようにウィリアムは、パジャマを見て、昨日のことをようやく思い出したのか苦笑いする。しかし

直ぐにいつもの笑みに戻り、数分程で断服に着替えた。

無駄にだだっ広い自室のテーブルに向かうと、包帯を巻いたAがシャツの上にエプロンを羽織って

飲み物を注いでいた。それがなんだかぽかぽかして、ウィリアムは思わずAを後ろから抱きしめる。


『こら、時間ないですよ』

「ふふ…エプロン姿が可愛すぎてね…」

『全く…ウィリアムさんは朝から狼さん何ですか?…卵スープが冷めちゃいますよ』

「これはすごい…フレンチトーストに目玉焼きに…これは…」

『くず餅と言う食べ物です。私が昔訪れていた国の料理なんです。すごく美味しいんですよ』

「へぇ、それは興味深いね」

『……手を離して下さい』

「……分かった」


ウィリアムはえぇ〜とも言わずに離したが、その顔は“ もっと抱きしめたかった“と言う顔だ。

彼は団長と言う仮面を外せば、こんなにも素直で可愛らしい男だった。そして何よりも優しい人。

それが悩みの種でもあるが。そう考えながらAはウィリアムの目の前の席に座った。


「……料理も出来るのかい、君は」

『そうなんですよ、実は出来るんです』

「すごく美味しいよ。Aは本当に手先が器用だね」


その言葉にAは微笑んで、右手のナイフをフレンチトーストに通した。


甘い朝だった。




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グリム(プロフ) - 凄く面白いです!続きが凄く気になるので、更新をいつも楽しみにしています! (2022年11月26日 15時) (レス) id: 66f712e8a8 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ - ヤミさんオチが良いです!!!!!!!! (2022年7月8日 22時) (レス) @page21 id: 3413745361 (このIDを非表示/違反報告)
天宮広海(プロフ) - 面白いです!続きが気になります!更新頑張ってください! (2022年3月7日 19時) (レス) id: 85bad9f447 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みるく | 作成日時:2022年3月3日 3時

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