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魔法帝からみんなに一喝あって、会議もどきは直ぐに終わった。
それぞれが各団地に帰り、強くなるだろう。魔法帝から頑張ろうと言われたら。
Aは帰って良いとは言われなかったので、その場でじっと待つ。
「Aよ」
『フエゴレオン団長、どうかしました?』
「…ノゼルの奴がすまなかったな」
『仕方ないでしょう。環境が環境です』
それにフエゴレオンは、予想していた返答では無いのか、一瞬目を見開いて
しかしすぐに笑った。大人びているな、とと言う意味合いも込めていただろう。
そしてフエゴレオンは何やら手元に持っていた本をAに渡す。優しい渡し方だった。
「哲学書だ。私の家の書庫から持ってきた」
『わわ、これは嬉しいですね。あ、もしかして何か貰いたいですか?』
「そうだな、等価交換でもしよう」
『あちゃ〜受け取っちゃいましたね。やられました』
「お前がやられたなど、珍しいな」
『あはは、本には目がないんですよ。知識ほど何処でも必要となるものはないでしょう』
「…その通りだな」
そしてフエゴレオンは、ゆっくりとAの隣に座った。
石の上だった為に、範囲が狭いのですごく近い。Aは気にしないようだったが、フエゴレオン
には何か理由があるようだった。本を眺めるAを、フエゴレオンはじっと見つめる。
そして脳に思い起こしたのは、先程の魔法帝との会話。
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「やあ、フエゴレオン。残ってもらってすまないね」
「いえ。それよりも…Aの事ですか?」
「うん…君もどうせ気になっているんだろう?」
「も」と言う言葉を出したということは、魔法帝もか、とフエゴレオンは
内心ほっとした。あの頭脳お化け(A)の正体を調べるのは自分だけでは足りないと薄々
わかっていたからだ。
「正直に申し上げますと…安心しております」
「はは、あの子には確かに複数人で行かなければ勝てなさそうだしね」
「……はい」
「まあ、あの子の事でわかっていることはあんまりない。ぶっちゃけね」
「魔法も、遠くから観察していたのですが…属性に限りが見えません」
「ああ、あれは私も通信魔法で見ていたよ。…文献を確認したけれど、Aが放った
言霊らしきものは乗っていなかったね…もしくは古すぎるのか」
フエゴレオンと魔法帝は、Aが王都で放ち、王都の住民を守ってくれた
魔法を見ていたが、内容は全くと言ってわからなかった。
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作者名:みるく | 作成日時:2022年1月5日 18時