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すらすらと、まるで最初から全て分かっているかのように
並べられた言葉の数々は、男に自分が置かれている状況を
理解させるには十分過ぎた。
マグナも異質すぎる目の付け所に言葉を失ってしまった。
『君に、二つの選択肢をあげよう』
「ふ、二つ…」
『そう、二つ』
よく聞き取れたね。偉いと男の頭を撫でるA
その行動すら今は恐怖の対象でしかない男は
ああ!と喘ぎ声を挙げながら助けを媚びる。
『一つ、このまま私に拷問され、何も吐かずに死ぬか。
二つ、私の手駒となって数日間生き延びるか。』
Aの言う通り、彼には妻がいた。
下民でそこそこ器用貧乏と言われた彼は平界で
出会った彼女の為にとお金を稼ごうと踏ん張るも
結局は王族や貴族に蔑まれる毎日、汗水垂らしても
それは王族や貴族に踏み潰されてしまう。
けれどそんな時_____
_____「私に着いておいで」
奇跡のように神をも思わせる力を持つ者と出会った。
そこに入ればお金もたんまりと溜まった。
王族や貴族に踏み潰されてしまっていた汗だって此処ならば
無駄になることなどなかった。
『君がもしも妻を大事にしたいのならば』
私以外どうなっても良いかと流されていた…。
目の前の彼女は恐らく下民だろう。
包帯も巻いている。何があったかは分からないが
同じような匂いがする。
「…手駒にして下さい……」
もうこれ以上、殺したくはない。
罪として償うにしてはあまりにも殺しすぎてしまった。
ならば目の前の魔法騎士に託そう。
この女の力なら、もしかすると…もしかすると___
『よく頑張ったね。下民ながらに鍛え上げられた魔力
今までの努力が伺えるよ。』
「うっ……ぁぁ…」
『マグナ君、この事は』
「わーってるよ。…身分が怖いっつー思いは
よく知ってるからな」
ガシガシと頭を書いたマグナは
一部始終を見て、なんとなくだがこの男の状況を把握したようで
涙と嗚咽に紛れた彼を同情するように見つめた。
「だが、三日だけだぞ。それ以上は自由にはしてやれねぇ」
『分かっているよ。ふふ、マグナ君は本当に心が綺麗なのだね』
「あぁ?!ん、んな事ぁねぇよ」
またもや猿のように顔を真っ赤に染めたマグナは後ろをむく。
Aはうっすらと笑い、目の前の男になにやら声をかける。
それに青ざめた男だったが、彼女の大丈夫だという声で
わかったと頷いた。
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楓(プロフ) - 箒が放棄になってます! (2022年9月30日 0時) (レス) @page29 id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - サヤさん» ですです!!名前出していいのかわかんなくて、他作品って描きましたが…気がついてくれて嬉しいです!! (2022年1月5日 1時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - もしかして夢主ちゃんの参考キャラって文ス○の太宰さんだったりしますか...? (2022年1月4日 23時) (レス) @page3 id: 6b856fac04 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - マナさん» ブラッククローバーですか?私が答えられる範囲であれば、大丈夫ですよ(´˘`*) (2021年12月31日 18時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ブラッククローバーについて聞きたいのですが… (2021年12月31日 18時) (レス) @page41 id: ccdfacfdab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2021年12月22日 3時