検索窓
今日:15 hit、昨日:12 hit、合計:70,163 hit

ページ34




すらすらと、まるで最初から全て分かっているかのように

並べられた言葉の数々は、男に自分が置かれている状況を

理解させるには十分過ぎた。

マグナも異質すぎる目の付け所に言葉を失ってしまった。


『君に、二つの選択肢をあげよう』

「ふ、二つ…」

『そう、二つ』


よく聞き取れたね。偉いと男の頭を撫でるA

その行動すら今は恐怖の対象でしかない男は

ああ!と喘ぎ声を挙げながら助けを媚びる。


『一つ、このまま私に拷問され、何も吐かずに死ぬか。

二つ、私の手駒となって数日間生き延びるか。』


Aの言う通り、彼には妻がいた。

下民でそこそこ器用貧乏と言われた彼は平界で

出会った彼女の為にとお金を稼ごうと踏ん張るも

結局は王族や貴族に蔑まれる毎日、汗水垂らしても

それは王族や貴族に踏み潰されてしまう。

けれどそんな時_____


_____「私に着いておいで」



奇跡のように神をも思わせる力を持つ者と出会った。

そこに入ればお金もたんまりと溜まった。

王族や貴族に踏み潰されてしまっていた汗だって此処ならば

無駄になることなどなかった。


『君がもしも妻を大事にしたいのならば』


私以外どうなっても良いかと流されていた…。

目の前の彼女は恐らく下民だろう。

包帯も巻いている。何があったかは分からないが

同じような匂いがする。



「…手駒にして下さい……」



もうこれ以上、殺したくはない。

罪として償うにしてはあまりにも殺しすぎてしまった。

ならば目の前の魔法騎士に託そう。

この女の力なら、もしかすると…もしかすると___


『よく頑張ったね。下民ながらに鍛え上げられた魔力

今までの努力が伺えるよ。』

「うっ……ぁぁ…」

『マグナ君、この事は』

「わーってるよ。…身分が怖いっつー思いは

よく知ってるからな」


ガシガシと頭を書いたマグナは

一部始終を見て、なんとなくだがこの男の状況を把握したようで

涙と嗚咽に紛れた彼を同情するように見つめた。


「だが、三日だけだぞ。それ以上は自由にはしてやれねぇ」

『分かっているよ。ふふ、マグナ君は本当に心が綺麗なのだね』

「あぁ?!ん、んな事ぁねぇよ」


またもや猿のように顔を真っ赤に染めたマグナは後ろをむく。

Aはうっすらと笑い、目の前の男になにやら声をかける。

それに青ざめた男だったが、彼女の大丈夫だという声で


わかったと頷いた。




・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
144人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 箒が放棄になってます! (2022年9月30日 0時) (レス) @page29 id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - サヤさん» ですです!!名前出していいのかわかんなくて、他作品って描きましたが…気がついてくれて嬉しいです!! (2022年1月5日 1時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - もしかして夢主ちゃんの参考キャラって文ス○の太宰さんだったりしますか...? (2022年1月4日 23時) (レス) @page3 id: 6b856fac04 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - マナさん» ブラッククローバーですか?私が答えられる範囲であれば、大丈夫ですよ(´˘`*) (2021年12月31日 18時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ブラッククローバーについて聞きたいのですが… (2021年12月31日 18時) (レス) @page41 id: ccdfacfdab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みるく | 作成日時:2021年12月22日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。