検索窓
今日:2 hit、昨日:12 hit、合計:70,150 hit

ページ30





「あ、ああ!あ、魔法騎士様でしょうか」

「なんと、こんな弱弱しい村にまで…」

「有り難き幸せでございます」



神にでも拝むように、三人の住民がAに土下座した。

のめり込みすぎて土が目に入って痛がっていた。

残りの三人は飯が食えずに栄養が足りていないのか

後ろで勝手に倒れ込んでいた。



『当然の事をしたまでです。あぁ…面をお上げください。

そろそろ応援が参りますから、もう少しの辛抱です。」



その言葉で、住民達は涙を流した。

うるうるされた目には土が薄汚く付着していた

そしてAは煙草の火を消し、後ろに降りてきた

紅蓮の獅子王の団員の方を見る。



『ふふ、待ちくたびれましたよ』

「何が待ちくたびれただ。全くお前は…」



そこには、炎色のローブを身に纏ったマーキュリーが居た。

中性的な彼には似合っていたし、男だとはバレていないようだったので

笑顔が見られた。


「んで?この残骸はなんだよ」

「私が殺った」


語尾にハートマークが付くように言った彼女に

はぁと溜息を吐いてマーキュリーは頭の後ろを手でガシガシとかく。

調査書をどう書こうかと迷っているのだろうと

Aはにやにやと嬉しそうに笑った。


「っあ゛ぁ!ウゼぇなその笑み!」

「君がこうも悩むのは、私のせいだと思うと素敵だなあって」

「全然素敵じゃねぇよ…こちとら誤魔化さないといけねぇんだよ」



そしてその惨い光景に、マーキュリーもうっと唸った。

それもそうだ。魔法がインフラで動くこの国では

血が流れて死体が出ても、処理班が上手く消してくれるからだ。

王族や貴族なんて毛嫌いして見る機会など滅多にないだろう。



「拷問しても良かったのだけどねえ」

「すらすらと怖いこと言うなよ」

「いやあね、どうも主格犯はやってくれたようだから」

「……主格犯?」


疑問を抱いたマーキュリーは

持ってきていた包帯やら薬やらを2倍3倍にして

住民達に配る。

そしてゆっくりと此方を見るAの目は

浅黒く、おぞましい悪魔のような物を感じた。



「獲物は狙うのだよ。その時をね…」



一瞬、時は揺れたようなそんな気すら感ぜられたその笑みは

すぐ様消える事になる。

と言うのも、Aは先程から他の会話を聞いているかのように

顔を動かしていた。


「お前まさか、ソッシ村での会話を聞いてるなんて言わないよな」

「……さぁどうだろうね」



・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
144人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 箒が放棄になってます! (2022年9月30日 0時) (レス) @page29 id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - サヤさん» ですです!!名前出していいのかわかんなくて、他作品って描きましたが…気がついてくれて嬉しいです!! (2022年1月5日 1時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - もしかして夢主ちゃんの参考キャラって文ス○の太宰さんだったりしますか...? (2022年1月4日 23時) (レス) @page3 id: 6b856fac04 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - マナさん» ブラッククローバーですか?私が答えられる範囲であれば、大丈夫ですよ(´˘`*) (2021年12月31日 18時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ブラッククローバーについて聞きたいのですが… (2021年12月31日 18時) (レス) @page41 id: ccdfacfdab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みるく | 作成日時:2021年12月22日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。