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「あ、ああ!あ、魔法騎士様でしょうか」
「なんと、こんな弱弱しい村にまで…」
「有り難き幸せでございます」
神にでも拝むように、三人の住民がAに土下座した。
のめり込みすぎて土が目に入って痛がっていた。
残りの三人は飯が食えずに栄養が足りていないのか
後ろで勝手に倒れ込んでいた。
『当然の事をしたまでです。あぁ…面をお上げください。
そろそろ応援が参りますから、もう少しの辛抱です。」
その言葉で、住民達は涙を流した。
うるうるされた目には土が薄汚く付着していた
そしてAは煙草の火を消し、後ろに降りてきた
紅蓮の獅子王の団員の方を見る。
『ふふ、待ちくたびれましたよ』
「何が待ちくたびれただ。全くお前は…」
そこには、炎色のローブを身に纏ったマーキュリーが居た。
中性的な彼には似合っていたし、男だとはバレていないようだったので
笑顔が見られた。
「んで?この残骸はなんだよ」
「私が殺った」
語尾にハートマークが付くように言った彼女に
はぁと溜息を吐いてマーキュリーは頭の後ろを手でガシガシとかく。
調査書をどう書こうかと迷っているのだろうと
Aはにやにやと嬉しそうに笑った。
「っあ゛ぁ!ウゼぇなその笑み!」
「君がこうも悩むのは、私のせいだと思うと素敵だなあって」
「全然素敵じゃねぇよ…こちとら誤魔化さないといけねぇんだよ」
そしてその惨い光景に、マーキュリーもうっと唸った。
それもそうだ。魔法がインフラで動くこの国では
血が流れて死体が出ても、処理班が上手く消してくれるからだ。
王族や貴族なんて毛嫌いして見る機会など滅多にないだろう。
「拷問しても良かったのだけどねえ」
「すらすらと怖いこと言うなよ」
「いやあね、どうも主格犯はやってくれたようだから」
「……主格犯?」
疑問を抱いたマーキュリーは
持ってきていた包帯やら薬やらを2倍3倍にして
住民達に配る。
そしてゆっくりと此方を見るAの目は
浅黒く、おぞましい悪魔のような物を感じた。
「獲物は狙うのだよ。その時をね…」
一瞬、時は揺れたようなそんな気すら感ぜられたその笑みは
すぐ様消える事になる。
と言うのも、Aは先程から他の会話を聞いているかのように
顔を動かしていた。
「お前まさか、ソッシ村での会話を聞いてるなんて言わないよな」
「……さぁどうだろうね」
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楓(プロフ) - 箒が放棄になってます! (2022年9月30日 0時) (レス) @page29 id: ec6c109e68 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - サヤさん» ですです!!名前出していいのかわかんなくて、他作品って描きましたが…気がついてくれて嬉しいです!! (2022年1月5日 1時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - もしかして夢主ちゃんの参考キャラって文ス○の太宰さんだったりしますか...? (2022年1月4日 23時) (レス) @page3 id: 6b856fac04 (このIDを非表示/違反報告)
来世はメロンパン(プロフ) - マナさん» ブラッククローバーですか?私が答えられる範囲であれば、大丈夫ですよ(´˘`*) (2021年12月31日 18時) (レス) id: a6fb8de70d (このIDを非表示/違反報告)
マナ - ブラッククローバーについて聞きたいのですが… (2021年12月31日 18時) (レス) @page41 id: ccdfacfdab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2021年12月22日 3時