コウフクな嘘 5 ページ6
中原中也の部下…もとい、異能特務科のスパイ、Aはベッドの上に沈みこんで、ぼんやりと今日のことを思い出していた
『指切りげんまん、な』と、照れ臭そうに笑って小指を繋いだ時の幸福が、今も余熱のように心に残っていた
異能力があり、非常に強い正義感を持って生まれたという理由に、Aは異能特務課に職に就いた
大変な職業だが、人を助けた時や、大きなことを成し遂げた時に達成感を味わえる職業だった
ただ…Aは今、この職業に就いたことを少なからず後悔していた
「もし私が異能特務課の人間じゃなくて…本当にマフィアだったらいいのに」
そうすれば、罪悪感に見舞われること無く、彼と接する事が出来るし、何より…この秘めた想いを打ち明ける事が出来る
この、何処までも哀しくて、優しい嘘を
「あ〜あ、異能特務課辞めちゃおうかなぁ」
なんて言いながらベッドの上をゴロついていると、枕元の携帯電話が鳴り出した
表示された名前に、Aはあからさまに顔を顰めると、電話に出た
「もしもし」
「やぁ、Aちゃん、今日も不機嫌そうだねぇ」
恐らく電話越しでニコニコしているだろう男…太宰治の声にAは通話終了ボタンを押そうとする
「太宰のせいで不機嫌になったの！切っていいかな」
気持ちが沈んでいるところに持ってきて太宰からの電話がかかり、Aは声を上げる
「えぇ〜、いいの？中也に正体バラしちゃうよ？」
太宰は確実にニンマリと笑い、最も避けたいことを言ってきた
「…本当に性格腐ってるね、太宰」
口角を引き攣りながら言うAに、太宰は機嫌良さそうに
「そりゃあどうも」
Aは心の中でこの男ー…太宰治を忌々しく思った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ＡＳ(プロフ) - ピロウさん» うわわ、ありがとうございます…！ピロウさんにそう言って頂けるなんて、夢にも思っていませんでした…！もう双黒が最高なので、愛読させて頂いています！！此方こそ恐れ多いです…！もう歓喜です(泣)再びのコメント、本当に嬉しかったです！これからも頑張ります！ (2017年11月10日 23時) (
レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - 完結おめでとうございます…！お疲れ様です！最後の一文まで素敵なお話で、流石ＡＳさんだな、と感動いたしました…。て、ていうか愛読して下さっていたんですか！？恐れ多いです…！これからもお身体に気をつけて頑張ってください！ (2017年11月10日 21時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - もえさん» コメントありがとうございます！感動して頂いて嬉しいです(＊´ｖ｀)矢っ張りハッピーエンドが一番ですね！ご指摘ありがとうございます！すぐに直します！これからも宜しくお願いします！ (2017年11月5日 17時) (レス) id: 3a55b14ac0 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - ASさんの作品は、何時も感動なお話ばかりです。二人が結ばれてよかったです……★P.S.28話の次が30に成ってます……|ω・`）チラ (2017年11月5日 17時) (レス) id: d821d2b418 (このIDを非表示/違反報告)
ＡＳ(プロフ) - ピロウさん» コメントありがとうございます！うわぁあ、ピロウさんですか！中也さんのヤンデレと双黒の短編集を愛読していました！私も小説を読んで本当にキュンキュンしました！沢山のお言葉、とても嬉しいです(*´∀｀*)何時も素敵な作品をありがとうございます！頑張ります！ (2017年8月23日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：AＳ | 作成日時：2017年6月27日 16時
