伝え愛 9 ページ10
指定されたのは、市内のマフィア傘下の高級ホテルだった
ホテルに着くなり、案内人に連れられ、大ホールへと向かう
「どうぞ」
扉が開かれた瞬間
ぱんっ!!ぱんっ!
クラッカーの音と火薬、紙吹雪に包まれる
「「「誕生日おめでとう!!」」」
首領を初めとするマフィアの面子が、中也に笑いかける
驚きと歓喜で1杯になり、言葉も出ない中也の前に、尾崎に押されながら、美しく着飾ったAが歩いてきた
「A……」
Aの姿に、中也は息を呑む
Aは恥ずかしげに伏していた瞳を中也に向けると、照れ臭そうにはにかんだ
「中也、誕生日、おめでとう!」
そして、Aは暖色系の花束を手渡した
その瞬間、会場が拍手に包まれる
その拍手を受けながら、中也は心から笑った
「ありがとう」
ガヤガヤと騒がしい会場の隅で、中也は首領と会話を交わしていた
「驚きましたよ、今日は、誰1人として俺の誕生日に気づいていないようだったので」
「済まないねぇ、驚かせたかったし……何より、Aくんが一生懸命今日のことを考えていたからね」
クスクスと微笑ましそうに笑う首領に中也は問う
「……Aが?」
「嗚呼、今回の計画を立てたのもAくんだし……、君を喜ばせる事しか考えていないくらいだったねぇ」
首領の言葉に、中也の中でAに対する気持ちが膨らんで、言い表せない幸せと、好き、という想いが溢れてきた
「ほら、君のためにあんなにお洒落をしているんだ……、心の準備は出来ただろう?会っておいで」
Aに目を向けると、Aは尾崎とにこやかに話をしていた
Aは桃色や薄橙色の花が少しあしらわれたミニドレスを見に包んでいた
尾崎にアレンジして貰ったであろう髪の毛やメイクは、Aをより引き立たせていて、中也の鼓動は、とくん、とくん、と音を立てる
そのドレスのフワフワのスカートから覗く脚や、大きく空いた背中に、他の構成員がチラチラと目を向けていた
「……うかうかしていると、誰かに声をかけられてしまうよ?さぁ」
首領にとんっと背中を押され、中也はAに近寄った
中也に気づいたAは、気恥ずかしそうに微笑む
「あ、中也」
「ちょっと、いいか」
ぐいっ
Aの華奢な手を引っ張り、会場を後にする
皆の冷やかす声を聞きながら、中也は強くAの手を握った
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みく - こんなに心をうごかされた作品は初めてです!感動しました!もう最高すぎて苦しい!!!!! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
みりあ - 素晴らしい作品でした! (2019年2月15日 21時) (レス) id: 672796e13d (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - ゆづきさん» うわわ、とっても嬉しいです!コメントありがとうございます(*´v`)亀更新ですがお付き合いいただければ幸いです! (2017年6月10日 23時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - とても、面白かったし感動しました! (2017年6月10日 22時) (レス) id: 029d1006b7 (このIDを非表示/違反報告)
AS(プロフ) - 花さん» 嬉しいお言葉をありがとうございます(*´∀`*)なかなか更新出来ずすみません…(´・ω・`)なるべく更新するように頑張ります! (2017年6月5日 7時) (レス) id: f709ff2152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AS | 作成日時:2017年4月24日 17時